
原則は私に、特別扱いは彼女に
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『原則は私に、特別扱いは彼女に』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約545字
恋人が医師だと知ると、親戚たちは口々に羨ましがった。
「これで、お母さんが病院にかかるときも安心ね」
「お医者さんが娘婿になるなら、予約も専門医の紹介も融通が利くでしょう」
私・高瀬美緒(たかせ みお)は笑って首を横に振った。
「そういう特別扱いはしない人だから」
それが、黒川創真(くろかわ そうま)の信条だった。
母が心筋梗塞で入院し、急いで冠動脈バイパス手術を受けなければならなかったときも。
私が、どの専門医に診てもらうべきか聞いてほしいと頼んだだけなのに、創真は腹を立てた。
「美緒、俺を困らせないでくれ。俺が立場を使って誰かを特別扱いするのを一番嫌ってるって、知ってるだろ」
彼を困らせたくなくて、その後の3年間、私は二度と何も頼まなかった。
ところが今日、母の診察に付き添って病院を訪れ、特別外来の前を通りかかったとき、甘えるような女の声が聞こえた。
「幼なじみがお医者さんで本当によかった。病院に来るたび、創真が特別枠で案内してくれるの。予約も待ち時間も、気にしたことないんだから」
思わず足が止まった。
顔を上げると、水野莉奈(みずの りな)の隣に立っていたのは、3年間付き合ってきた私の恋人、創真だった。
そばにいた看護師たちは莉奈の話を聞き、笑いながら口々に言った。
「水野さんは本当に幸せですね」
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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