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忘れた恋、届かぬ手のひらの君

言語日本語
試し読み第1〜3話(当サイト)
掲載日
読み方横書き・縦書きを切り替え可

『忘れた恋、届かぬ手のひらの君』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。

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冒頭試し読み第1話より・約390字

沢田修平(さわだ しゅうへい)にとって、私は彼の「想い人」のために用意された、ただの生きた薬箱に過ぎない。

彼女を生かすため、修平は私の心臓から99回も血を抜き取った。

最初は彼の巧みな手口に騙され、最後には自ら差し出すようになった。

そこに至るまで、たったの5年。

修平が角膜をよこせと言えば、私は差し出した。

富永麻里奈(とみなが まりな)と腎臓を交換しろと言えば、大人しく従った。

そして、修平が100回目の心臓の血を求めてきた時、私はただ静かに微笑んだ。

彼は知らない。私の心臓が100回傷ついた時、この世界から完全に消滅してしまうことを。

あの日、私は迷うことなく心臓にナイフを突き立て、彼に告げた。

「修平、もう二度と会うことはないわ」

いつも冷徹な修平が、その時ばかりは狂ったように手術室の前に跪き、泣き叫んでいた。

「何もいらない!お前さえ戻ってきてくれれば、他には何もいらないんだ!」

※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む

目次試し読み3話

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