
椿の咲く日に、私は消えた
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『椿の咲く日に、私は消えた』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約488字
七年前に死んだはずだった、夫・渡辺颯太(わたなべ そうた)のかつての婚約者、富田椿(とみた つばき)が突然戻ってきた。
私、渡辺千早(わたなべ ちはや)が渡辺家の本宅を訪ねたとき、二人はちょうど結婚式の相談をしているところだった。
椿は颯太の腕に寄り添い、人の輪の向こうにいた私を指さした。
「颯太、あちらの方は?」
颯太は迷いなく答えた。
「式の司会を頼んだ人だ」
私は胸を押さえた。心臓の発作が近いのだと、ぼんやり分かった。
問い詰める暇もなく、私はボディガードにリビングから連れ出された。
部屋の中からは楽しげな笑い声が聞こえてくる。けれど私は手足が冷たくなり、痛みで息をすることさえつらかった。
二時間後、颯太はどこか晴れ晴れとした顔で出てきた。けれど私の様子を見るなり表情を変え、すぐにコートで私を包み込んだ。
「椿は何も覚えていないんだ。ただ、俺が婚約者だったことだけは覚えている。
医者にも言われた。今の椿には、少しの刺激も危ないって。結婚式は本気じゃない。あいつを落ち着かせるために合わせているだけだ。俺が愛しているのは、今も昔もお前だけだ」
私はもう耐えきれず、その場に崩れ落ちた。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
目次試し読み3話
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