
真夏に消える彼
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『真夏に消える彼』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約471字
私の恋人、深町夏央(ふかまち なつお)は、夏だけ姿を現す渡り鳥だ。
一年で最も暑い7月と8月になると、彼は決まってどこかへ飛び去り、音信不通になる。
会社から派遣される「特別プロジェクト」で、極秘任務だから一切連絡は取れない――彼はそう言っていた。
だから昨年、私が交通事故に遭い、2か月もの間病院で生死の境をさまよっていたときでさえ、彼からはただの一言もなかった。
そんなある日、私は偶然、海の向こうで暮らす親友のSNSのサブアカウントを見つけた。
そのアカウントは毎年7月と8月になると頻繁に更新され、投稿されているのは彼女と息子の日常、そしてスタンプで顔を隠された「パパ」の姿ばかりだった。
動画の中で、「顔隠しのパパ」は男の子と一緒に遊園地で花火を眺め、海辺で貝殻を拾い、嫌な顔ひとつせず、お馬さんごっこをして遊んであげていた。
時折映り込む横顔も、目尻のほくろも、手の甲の傷痕も、あまりにも見覚えがあった。
そのすべてが、彼は夏央なのだと私に突きつけていた。
毎年、夏休みの丸60日間。
それが5年も続いていた。
彼はどこかへ飛び去っていたわけではない。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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