
四度目の婚姻届、もうあなたを待たない
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『四度目の婚姻届、もうあなたを待たない』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約503字
婚姻届を提出する日、市役所の受付番号が私たちの番になった途端、榎本蒼士(えのもと そうし)のスマホが鳴った。
画面を見た蒼士は、婚姻届をすぐに私・藤岡千紗(ふじおか ちさ)のバッグに戻した。
「由良のマンションが停電して、廊下の照明まで消えたらしい。あいつは暗いところが苦手だから、ちょっと行ってくる」
私は必要書類を握りしめ、窓口の前に立ち尽くした。
「蒼士、今日中に手続きを済ませるって約束したよね」
蒼士はもう出口へ向かっていた。焦りを帯びた声だけが返ってきた。
「1日遅れたって何も変わらないだろ。千紗は物分かりがいいんだから、こんなときくらい我慢してくれよ」
朝から夕方まで待ち続け、やがて市役所が閉まる時間になった。
そのころ、スマホには小宮由良(こみや ゆら)がLINEのタイムラインに投稿した写真が流れてきた。
添えられた言葉は、たった一言だった。
【人生の大事な用事を放り出してまで、誰かが駆けつけてくれるって、こんな気持ちなんだ】
ふいに、昔からずっとそうだったことを思い出した。
映画が始まった直後、由良から電話がかかってくると、蒼士は私だけを席に残した。
「あいつは暗いところが苦手だから、家まで送ってくる」
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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