
もう彼の助手席には座らない
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『もう彼の助手席には座らない』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約457字
母親、従妹、女性の同僚、それから「仲のいい友達」の白岩エレン(しろいわ えれん)。
なのに、私だけは座ったことがない。
そのたびに聞くと、彼は決まってこう言った。
「後ろに座るのと何が違うんだ?そんなの、大したことじゃないだろ」
私は数えていた。「大したことじゃない」という言葉を、彼は私に76回も口にしていた。
私の誕生日なんて、大したことじゃない。
私の卒業式なんて、大したことじゃない。
彼の隣に座りたいという私の願いも、大したことじゃない。
けれど昨日、エレンが別の男の車の助手席に座って帰った。
そのとき、文昭は初めて私に怒鳴った。
「もう少し早く降りられなかったのか?明澄を待ってたせいで、エレンを迎えに行くっていうあんな大事な用事に遅れたんだぞ!」
焦りで赤くなった彼の目を見つめながら、私は思った。
彼は、助手席がどういう意味を持つのか、ちゃんと分かっていた。
ただ、相手が私になると、「大したことじゃない」に変わるだけだった。
私は車のキーをリビングのローテーブルに置いた。
「じゃあ、もう座らない。前も後ろも、もう座らない」
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
目次試し読み3話
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