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記憶を失くしたプリンチペッサと、返された指輪

言語日本語
試し読み第1〜3話(当サイト)
掲載日
読み方横書き・縦書きを切り替え可

『記憶を失くしたプリンチペッサと、返された指輪』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。

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冒頭試し読み第1話より・約517字

コルヴォーナの裏社会には、ひとつの鉄の掟が存在する。

ドンが同じ女を三ヶ月にわたって傍に置いたとき、ドンナは一族の面前で自らシグネットリングを外し、その女の指に嵌めなければならない、というものだ。

ベリーニ家のドンであるルカが、愛人のミアを連れて三ヶ月の長期遠征に出ると告げたとき、コルヴォーナの裏社会全体が、私――エラーラが取り乱し泣き崩れる瞬間を、固唾を呑んで待ち構えた。

ルカと共に過ごして、七年。

私はどこへ行くにも彼の後をついて回り、片時も傍を離れようとしなかった。夜中に目が覚めては彼の温もりを確かめずにはいられず、その存在を感じて初めて、安心して眠りにつけた。私は、そんな女だった。

私の執着ぶりはこの界隈で知れ渡っており、誰もが、私が彼を絶対に手放すはずがないと思っていた。

しかし、ミアが甘ったるい笑顔で指輪を求めて手を差し出してきたとき、私は一粒の涙も零さなかった。

静かに、一族の紋章が刻まれたシグネットリングを外し、彼女の薬指へと滑らせた。

上座の革張り椅子に深々と腰掛けたルカは、ウィスキーのグラスをゆっくりと揺らしながら、冷たい青の瞳に満足げな光を宿していた。

「やっと身の程が分かったか、エラーラ。自分の立場というものが」

※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む

目次試し読み3話

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