
嵐の夜、身代わりの姉は死んだ
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『嵐の夜、身代わりの姉は死んだ』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約567字
双子が生まれたら、片方を罰を受ける「見せしめ」とし、もう片方にそれを見せて戒めなければ、子供は無事に育たないというのだ。
私、柚木静音(ゆずき しずね)は妹の柚木結衣(ゆずき ゆい)より4分早く生まれたというだけで、その「見せしめ」に選ばれた。
妹がこっそり川へ泳ぎに行った時、母は妹をただの一言も叱らず、私の頭を何度も川の水に沈めた。
妹が恐怖のあまり「もう二度と川には行かない」と泣き叫んで、ようやく母は手を離した。
妹が炊飯器のスイッチを押し忘れ、母が仕事から帰ってきた時、中の米はまだ生のままだった。
母は生米がよそわれた茶碗を2つ、私の前にドンと置いた。
「全部食べなさい。一粒も残すんじゃないわよ」
生の米を噛み砕くうちに口の中は血だらけになった。母はその間ずっと妹の表情を見つめ、妹が泣き出すのを見てようやく満足げに茶碗を下げた。
私は16年間、ずっと「見せしめ」として生きてきた。
あの年、台風の特別警報が発令され、町民全員が夜通しで避難することになった。
しかし妹は、深夜まで同級生と遊び呆け、全身ずぶ濡れでヘラヘラと笑いながら帰ってきたのだ。
母は妹を避難用の車に押し込むと、私を振り返り、ひどく淡々とした声で言った。
「あなたは残りなさい。台風が過ぎれば、結衣もこれからは早く帰ってくるようになるでしょう」
町の人間は、全員いなくなった。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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