
山村の風と愛しい日常
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『山村の風と愛しい日常』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約542字
「俺が一番後悔しているのは……結空と結婚するって約束した後に、他に心惹かれる人に出会ってしまったことだ」
個室はしばらく静まり返っていたが、やがて友人の一人が口を開いた。「圭馬さん、なんでだよ。結空さんともう十二年も付き合ってるじゃないか」
「長すぎたからだ。長すぎて、結空への気持ちがただの慣れなのか、それとも愛情なのか、もう分からなくなってしまったんだ」
新井圭馬(あらい けいま)は酒を一口飲んだ。
「会社が倒産して一番どん底だった時、結空は俺を置いて勝手に出て行った。俺のそばにいてくれたのは美波だったんだ」
異動通知が出る一週間前、星野結空(ほしの ゆあ)は新井圭馬(あらい けいま)にサプライズを仕掛けようと、こっそり都心へ戻る新幹線に乗り込んだ。
雨の中を急いでバーに駆けつけると、個室のドアの外で、圭馬が友人たちに「これまでの人生で一番後悔していることは何か」と聞かれているのを耳にした。
「俺に言わせれば、圭馬さんの人生に後悔なんてあるわけない」
すぐさま別の声が同調した。「当たり前だろ!来週には結空さんも帰ってきて、めでたくゴールインなんだ。これ以上、圭馬さんに何の悔いがあるんだよ」
圭馬はしばらく黙り込んでいたが、やがてこう口にした。
「あるさ」
個室の中が一瞬にして静まり返る。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
目次試し読み3話
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