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夫が私の腎ドナーを妹に譲ったから、私は笑って退院した

言語日本語
試し読み第1〜3話(当サイト)
掲載日
読み方横書き・縦書きを切り替え可

『夫が私の腎ドナーを妹に譲ったから、私は笑って退院した』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。

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冒頭試し読み第1話より・約535字

末期の腎不全を患った私に最も適合するドナー腎は、夫の判断で、妹に回された。

医者から「他のドナーを待ちましょう」と言われたけれど、私はそれをきっぱりと断って、予定より早く病院を出た。

もう、冷えきった心には、これ以上しがみつく意味なんてなかった。

これまで必死に築いてきた財産を、全部妹に譲った。その見返りに、ようやく両親が私に笑いかけてくれた。

夫は四六時中、妹の看病に付きっきり。私は怒るどころか、「ちゃんと優しくしてあげてね」って、彼を気遣った。

息子が「おばちゃんをママにしたい」なんて言い出した時も、私は微笑んでうなずいた。

みんなの「願い」は、ちゃんと叶ったはずなのに。どうして、今さら後悔してるの?

「結城詩織(ゆうき しおり)さん、腎ドナーはまだ見つかる可能性があります……」

医者の言葉に、私は静かに首を振った。

──もう、待つ意味なんてない。

これまで必死で手に入れようとしていたものも、今ではどうでもよくなった。

退院手続きを終えたばかりの私のスマートフォンが、容赦なく鳴り響く。

「詩織、南区の店でおかゆ買って、すぐ病院に持ってきて。

香里が目を覚ました。食べたいって」

返事をする間もなく、父は一方的に電話を切った。

昔の私なら、きっと言い返していたと思う。

でも、もういい。

※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む

目次試し読み3話

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