
夫が兄になりすまして義姉と契った話
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『夫が兄になりすまして義姉と契った話』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約414字
カミソリでまた手首を切ったとき、真っ先に駆け込んできたのは、やはり桐谷彰宗(きりたに あきむね)だった。
震える手で包帯を巻きながら、彼は言った。
「薬、また飲み忘れたんじゃないか?」
私は何も答えず、ただぼんやりと、赤く潤んだ彼の瞳を見つめていた。
さすが双子だ。
今この瞬間、心配で歪んだその顔立ちまで、あの人と瓜二つだった。
しばらくして、彼は小さく息をつき、ようやく重い口を開いた。
「もし……本当に翔伍(しょうご)のことが忘れられないなら、俺が……」
「いらない」
きっぱりと言い切り、私の視線は、彼の襟元から覗く、生々しいキスマークへと落ちた。
「彰宗さんは、ちゃんと知恵(ちえ)さんのそばにいてあげて」
口元にわずかな笑みを浮かべて、彼を見た。
不思議と、心にはもう悲しみは残っていなかった。
「だって、私もそろそろ自分を解放して、やり直そうと思うの」
あのとき、あなたが私を捨てたのと同じように。
別の人間として、別の誰かと一生を歩んでいく。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
目次試し読み3話
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