
十年の献身に、永遠のさよならを
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『十年の献身に、永遠のさよならを』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約532字
「柊さん。保護動物の救助活動は世界中を飛び回ることになります。家に帰る機会も少なくなるから、家族の理解が必要不可欠ですが、問題はありませんか?」
柊初音(ひいらぎ はつね)は一瞬言葉に詰まり、静かに答えた。
「私には、家族がいません」
会議室が、一瞬静まり返った。
「それなら……恋人の理解は得られているのですか?」
初音は少し沈黙し、脳裏に神崎蒼介(かんざき そうすけ)の冷ややかで気品のある顔を思い浮かべ、首を振った。
「いません」
面接官たちは目配せをし合い、最後に笑顔で手を差し出した。
「そういうことなら、歓迎します。七日後に出発です。最初の赴任先は南の果てにある大陸になります」
初音は頷いて礼を言い、面接会場のビルを出た。向かいの商店街にある巨大な街頭ビジョンでは、西園寺夏帆(さいおんじ かほ)の告白動画が繰り返し流れていた。
「蒼介、大好きだよ!」
画面の中の女性は華やかで自己主張が強く、満面の笑みを浮かべていた。
通りすがりの人々は次々と足を止め、感嘆の声を漏らしていた。
「西園寺グループのご令嬢と神崎社長、本当にお似合いね!」
初音は人ごみの外に立ち、突然、涙が出そうになるほど日差しが眩しいと感じた。
確かにお似合いだ。
高校すら中退した孤児の自分なんかより、ずっと。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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