
余命を偽った私と、愛を忘れられなかったあなた
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『余命を偽った私と、愛を忘れられなかったあなた』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約463字
「羽村さん、ご本人の意思について、改めて確認が取れました。今後は積極的な治療や延命措置は行わず、苦痛を和らげるためのケアに切り替えます」
医師は少し間を置いてから、静かに続けた。
「今の状態では、おそらく残された時間は1か月ほどです。こちらの書類にご署名をお願いします」
羽村優璃(はむら ゆり)の指先がかすかに震えた。
紙の上でペン先を数秒さまよわせてから、ようやくゆっくりと自分の名前を書き込む。
歪んだ頼りない文字からは、残された力のすべてを振り絞ったことが窺えた。
今の優璃はすっかり痩せ細り、肌からも血の気が失われていた。風が吹けば、そのまま消えてしまいそうなほどだった。
癌は少しずつ、確実に、優璃の命を削っていった。
これ以上、苦しい治療を続けながら生き延びることを、優璃は望まなかった。
だから彼女は治療を終えることを決めた。
そして、自分に残された時間があと1か月ほどだと知ったうえで、その最期を受け入れる道を選んだのだ。
建物を出たところで、彼女のスマホが鳴った。
長谷部陽一(はせべ よういち)からだった。
たった1行、短い言葉。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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