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ブサイクの仮面、真実の顔と届かぬ愛

言語日本語
試し読み第1〜3話(当サイト)
掲載日
読み方横書き・縦書きを切り替え可

『ブサイクの仮面、真実の顔と届かぬ愛』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。

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冒頭試し読み第1話より・約538字

界隈では、楠瀬夏生(くすのせ なつき)はちょっとした有名人だった。もっとも、良い意味ではない。

分厚い前髪で顔の半分を覆い隠し、瓶底のような黒縁眼鏡をかけている。肌にはいつもくすんだファンデーションを厚塗りし、色の濃い口紅でわざと唇の輪郭を不格好に描く。

そんな夏生を、街ですれ違う人がわざわざ振り返って見ることはまずなかった。

けれど誰も知らない。それが夏生自らが選んだ「醜さ」だということを。

きっかけは母だった。

母はかつて評判の美人だった。父が猛烈に口説き落として嫁にしたものの、結婚して3年も経たないうちに、父が浮気を繰り返すのが日常茶飯事になっていた。悲しみは絶望に変わり、やがて心を病んだ母は、そのまま逝ってしまった。

死の床で、母はまだ10歳だった夏生の手を握りしめた。幼いながらすでに美貌の片鱗を見せ始めていた顔を見つめ、残された力を振り絞るように言った。

「夏生……っ、ママの言葉を、忘れないで。綺麗すぎる女は、男に騙されるの。不幸な末路をたどるわ……自分の身は自分で守りなさい。その顔は、隠しておくのよっ」

夏生はその言葉を胸に刻んだ。

その日を境に、彼女はわざと自分を醜く装うようになった。前髪は年々厚くなり、眼鏡のレンズは分厚くなり、選ぶ服はいつも目立たない色ばかり。

※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む

目次試し読み3話

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