和紙文10年の青春恋愛劇。妻の私はただの脇役だった · 第2話設定≡

10年の青春恋愛劇。妻の私はただの脇役だった第2話

この話は約1616字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

「美弥が凛の幸せを邪魔したんだ。今日ははっきりさせなきゃ気が済まない。

ねえ美弥、颯太くんと凛が一緒になることを応援するよね?」

里香が鬼のような形相で私を睨みつけ、周りの空気は一瞬にして凍りついた。

大勢の視線を浴びながら、私は口を開いた。

ちょうど、颯太の言葉と重なるように。

「もういい、美弥を責めるな」

「二人のことを、応援するよ」

周囲が静まり返った。

颯太が驚いた様子でこちらを凝視したまま、黙り込んだ。

里香は眉をひそめて私を見下ろし、ふんと鼻で笑った。

「嘘じゃないよね。もう二人の邪魔なんかしないで」

誰かがわざとらしく咳払いをして、場の空気を和ませようと口を開いた。

「まあまあ、同級生なんだからそんなに堅苦しい話はやめようぜ」

「今日は里香ちゃんの結婚祝いだし、颯太と凛ちゃんがくっついためでたい日なんだ。酒でも飲もうよ」

周囲がそれに同調し、話題をそらそうとした。

しかし里香はしつこく話を続けた。

「別にどうしてもこの話をしたいわけじゃないの。昔、美弥が凛をひどい目にあわせたから、我慢できなかっただけよ。

あのラブレターのことは忘れたわけ?」

高校二年生の頃、颯太から手編みのブレスレットを貰って間もないことだ。

彼の課題を代わりに職員室に届ける時、教師たちの目の前で颯太のノートから一枚の封筒がこぼれ落ちた。

ピンク色の封筒には、凛の名前が書いてあった。

とっさに隠そうとしたが、もう遅かった。

教師の一人が封筒を拾い上げると、たまたま通りかかった凛にそれを渡し、冗談めかして笑った。

凛は目を真っ赤にしたまま教室へ戻り、席に突っ伏して泣き続けていた。

誰もが彼女を囲んで慰めた。

私はどうすることもできず、颯太に助けを求めた。あのラブレターのことは、私も知らなかったからだ。

颯太は私に見向きもしないで、デスクごと凛の横へ移動した。

無視という形のいじめは、そこから始まった。

誰も私に話しかけなくなり、学級委員が課題を回収する時に私の席だけを飛ばすようになった。

授業中でも昼休みでも、私が口を開くと、皆がわけもなく黙り込んだ。

高校二年の間、私はクラスメイトとまともに言葉を交わすことすらできなかった。

何をしたっていうの?

どうして誰一人として話を聞いてくれないの?

特に、精神的に追い詰められ、泣きながら颯太に電話をかけたあの夜のことを今も思い出す。

私の話をずっと聞いていた彼は、疲れ果てた冷たい声でこう言った。

「美弥、考えすぎじゃないか?

今回の一件は凛が被害者だし、みんなはお前を避けているだけだよ。

もう受験だし勉強に集中したい。明日の席替えで別々にしてもらおう。一人の方が気が楽だろ。

約束したことは変わらない。卒業したら、ちゃんとみんなに俺たちの関係を伝えるから」

私はスマホを握りしめ、ただ黙り込むしかなかった。

……

当時の記憶が蘇り、グラスを持つ指がかすかに震えた。

そこで凛が口を開いた。

「もういいのよ」彼女は颯太に身を寄せ、得意げに笑った。「10年前のことは水に流してやるわ。

でもね……」

凛はわざとらしく颯太を見つめた。

「悪いことばかりじゃなかったの。

美弥があのラブレターを落としたおかげで、颯太は私のために、先生にお願いをして隣の席にしてくれたの。手編みのブレスレットまでくれたし」

凛は腕に巻かれたブレスレットを自慢げに揺らした。

それは、10年前に颯太が私にくれたものと全く同じだった。

みんなの視線が凛の手元に集まる。

「うわ、本当だ!だからあの頃、颯太くんが編み方の動画を探していたんだ」

「やっぱり、運命のカップルだな」

「見ているだけでドキドキするよ」

周囲の反応を聞いて、自分の腕を隠したくなるような気持ちになった。

込み上げる怒りと悔しさ、隠しようのない苦しさが胸をかき乱した。

私は颯太を見た。

彼は手元のスマホに視線を落としたまま、周囲の声など耳に入っていないようだった。

目頭が熱くなり、何かを言おうとしたその時、誰かが私の腕を取り、高く持ち上げた。

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