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10年の青春恋愛劇。妻の私はただの脇役だった第1話

この話は約2285字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

高校時代の友人が結婚する前夜、花嫁の高橋里香(たかはし りか)が結婚祝いのパーティーで王様ゲームをしようと提案した。

王様になった里香は、「1番と3番は全員の前でキスをする」と言い出した。

潔癖症の夫、千葉颯太(ちば そうた)は、手にした「1」と書かれたくじを見て眉間にしわを寄せた。

私は席から立ち上がり、なんとか颯太を助けようと言葉を探した。

次の瞬間、向かいの席にいた御手洗凛(みたらい りん)が「3」と書かれたくじをみんなに見せながら、控えめな声で颯太に尋ねた。彼女は高校時代、誰もが憧れた高嶺の花だった。

「いいかな?」

颯太は凛を見ると、表情が柔らかくなり、迷うことなく答えた。

「ああ」

会場は一気に沸き立ち、周囲から囃し立てる声が飛び交った。

「颯太、余裕があるね。さすが成績トップだっただけのことはあるわ」

「早く録画しなきゃ!昔からお似合いの二人が、こうしてまた繋がるなんて、運命じゃないか?」

凛は顔を赤らめ、恥ずかしそうに颯太に近づいた。

颯太は笑ったまま、拒もうとしなかった。

私はその場に立ち、二人が口づけを交わす様子を静かに見ていた。

さっきまで颯太を助けようとしていた自分を思い出し、私は自嘲気味に笑った。

どうやら、余計なお節介だったようだ。

* * *

高校時代の友人が結婚する前夜、花嫁の高橋里香(たかはし りか)が結婚祝いのパーティーで王様ゲームをしようと提案した。

王様になった里香は、「1番と3番は全員の前でキスをする」と言い出した。

潔癖症の夫、千葉颯太(ちば そうた)は、手にした「1」と書かれたくじを見て眉間にしわを寄せた。

私は席から立ち上がり、なんとか颯太を助けようと言葉を探した。

次の瞬間、向かいの席にいた御手洗凛(みたらい りん)が「3」と書かれたくじをみんなに見せながら、控えめな声で颯太に尋ねた。彼女は高校時代、誰もが憧れた高嶺の花だった。

「いいかな?」

颯太は凛を見ると、表情が柔らかくなり、迷うことなく答えた。

「ああ」

会場は一気に沸き立ち、周囲から囃し立てる声が飛び交った。

「颯太、余裕があるね。さすが成績トップだっただけのことはあるわ」

「早く録画しなきゃ!昔からお似合いの二人が、こうしてまた繋がるなんて、運命じゃないか?」

凛は顔を赤らめ、恥ずかしそうに颯太に近づいた。

颯太は笑ったまま、拒もうとしなかった。

私はその場に立ち、二人が口づけを交わす様子を静かに見ていた。

さっきまで颯太を助けようとしていた自分を思い出し、私は自嘲気味に笑った。

どうやら、余計なお節介だったようだ。

二人が顔を離すと、会場は一気に盛り上がった。

凛の親友である里香が勢いのまま、颯太に詰め寄った。

「颯太くん、同級生なんだから、正直に教えてよ。凛のことをどう思ってるの?

ずっと颯太くんのことを待ってたんだから。ハッキリ言ってよ。好きなんでしょ?」

周囲の人たちも加わり、場はさらに騒がしくなった。

「そうだぞ!お前ら二人は同級生の中で一番似合ってたよ」

「告白なら今夜でしょ、タイミングは今しかないぞ!」

誰もが思い思いのことを叫び、好き勝手に騒いでいる。

凛は耳まで赤くして、ほぼ颯太の腕の中に収まっていた。

「やめろよ」

颯太は笑いながらそう返したが、否定をしなかったし、凛を突き放すこともしなかった。

私は震える体を必死に抑えながら、その様子をただ静かに見つめていた。

すると里香がニヤニヤしながら、こちらを見てきた。

「美弥(みや)、そっちはどう思うの?颯太くんと凛がくっつくのを、応援するよね?」

その瞬間、周囲が静まり、全員の視線が私に突き刺さった。

そこにあったのは、好奇と嘲りを含んだ、見世物を前にしたような眼差しだった。

10年前、凛が颯太に告白した日のことを思い出す。

忘れるはずもない。晴れた日の体育の授業中のことだ。

凛はクラス全員の前で、堂々と颯太に好きだと言った。

そのとき、颯太は既に私の恋人だった。

彼は断りきれず、困った顔でこちらをチラチラ見ていた。

焦った私は、何も考えず颯太の前に飛び出した。

「凛、颯太はあなたになんて興味がない。彼を困らせるの、やめてくれる?」

凛は固まり、真っ赤な目で泣き出した。

すると颯太の表情が一変し、私を突き放すと、泣きじゃくる凛を連れて走り去っていった。

周囲からはヒソヒソと話し声が聞こえてきた。

「美弥って本当にひどいわよね。人の恋を邪魔するなんてマジでないわ」

「そうそう。席が隣だからって勘違いしすぎ。性格最悪だな」

私は呆然と立ち尽くしていた。私こそが颯太の恋人なんだと必死に周りに説明した。

しかし戻ってきた颯太は、私の説明を聞いて足を止めた。

「美弥、笑えない冗談はやめろ」

颯太はクラスメイト全員の前でそう言った。私たちの恋、1年8ヶ月続いた関係をその一言で終わらせた。

あの授業の間、私は周囲から向けられる冷たい視線に、消えてしまいたいほどの屈辱を味わっていた。

夜、部屋で一人泣いていると颯太が家のチャイムを鳴らした。

「悪かった。今日はただ、俺たちのことを周りに知ってほしくなくて……」と颯太が言った。

そして彼はこう続けた。私の言い方がひどいせいで凛が悲しんでいるから、謝ったほうがいいと。

最後に、颯太は自分で編んだブレスレットを私に手渡し、卒業したら自分たちのことを周りに公表すると約束してくれた。

十年経った今でも、私はあのブレスレットを外していなかった。

ふと顔を上げると、里香はなおも凛を庇うように声を上げていた。

「凛、止めないでよ。美弥は高校のときから性格が悪いもん。あいつの邪魔さえなければ、凛と颯太くんは高校の時から付き合っていたはずなのに」

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