
頼みどころ
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『頼みどころ』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約572字
藤田彦治との結婚生活七年目、彼の初恋の人が帰国した。
その時、私は気づいた。この家で私は最初から最後まで、ただの代役でしかなかったのだと。
離婚届を出したその日、新幹線の切符を予約した。
唯一気がかりだった息子は、むしろ嬉しそうに言った。
「これでパパは、つづみおばさんを本当のママにできるんだね!」
さすが藤田彦治の子、女性を見る目まで父親そっくりだった。
振り返ることもなく、荷物をまとめて家を出た。
三ヶ月後、娘を連れて歩いていると、偶然彼らと出くわした。
「ママ、どうしてあのお兄ちゃん、ママを見て泣いているの?」
娘が不思議そうに尋ねた。
私は娘の手を引いて、その場を立ち去った。
「知らないわ。見たことのない人よ」
「今夜帰ってくる?晩ご飯作ったんだけど......」
話が終わらないうちに遮られた。
「つづみが暗いのが怖がるから、一人にはできないんだ」
そう言うと、電話は切れた。
もう二ヶ月、夫と息子に会っていない。
彼の初恋の人が帰国して以来、彼は息子を連れて、山本つづみのために用意したマンションで暮らしている。
「つづみは帰国したばかりで知り合いもいないから、手伝っているだけだよ」
息子の嘱言も眉をひそめて私を見た。
「ママ、そんな身勝手はダメだよ。つづみおばさんが寂しくて困るでしょ」
その真剣な表情は、まるで父親そのもの。
まるで私が悪者であるかのようだった。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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