過去を払って、四月の風と歩む第2話
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朔が家に着いた時、スマホの通知を見て彼は少しハッとした――付き合い7周年。
彼は眉間を揉み、ドアを開けた。寧々はソファに座って本を読んでいた。
「寧々」
彼の声には少しばかり申し訳なさが滲んでいた。
「ここ最近忙しすぎて、記念日のことをすっかり忘れていた。明日は君がずっと行きたがっていた花火大会に行こう。いいだろう?」
寧々は本を閉じた。
「明日はダメ。両親へのお年賀を買いに行かないといけないから」
朔は数歩近づき、彼女の隣に座って口調を和らげた。
「まだプロジェクトのことで怒っているのか」
彼女の顔に触れようと手を伸ばしたが、彼女は顔を背けてそれを避けた。
「怒ってないわ」
彼女の声はとても小さかった。
朔は少し沈黙してから言った。
「藤堂グループに来い。君に相応しいポストを用意するから」
寧々は視線を上げて彼を見た。彼の目には施しを与えるような温かさがあった。それは藤堂グループの社長だけのものであり、彼女の知る「朔」のものではなかった。彼女から最後の反論の気力すらも奪い去るものだった。
彼女は頷いた。
「わかったわ」
翌日の夜、花火大会の会場は人々の熱気で溢れていた。
色とりどりの屋台から食欲をそそる匂いが漂い、若い男女が笑い合いながらすれ違っていく。
寧々は朔に手を引かれて人混みの中を歩いていた。滅多に見せない彼のリラックスした横顔を見つめ、彼が話す言葉を聞いていると、何年も前に戻ったかのような錯覚に陥った。
彼は彼女にりんご飴を買い、不格好なウサギのぬいぐるみを射的で取ってくれ、通行人にぶつかりそうになった時は彼女の肩を強く抱き寄せてくれた。
心の底に意図的に押し込めていたわだかまりが、この賑やかな祭りの空気の中で、一時的に薄らいでいくのを感じた。
「少し前の方へ行ってみないか。メッセージボードがあるらしい」
朔が前方を指さした。
寧々が頷こうとした瞬間、聞き覚えのある声が割って入った。
「朔」
凛が落ち着いた足取りで近づいてきた。その声には計算されたような適度な申し訳なさが含まれていた。
「お二人の邪魔をしてごめんなさい。でも、買収の件で緊急事態が起きてしまって。先方の代表が、どうしても朔と直接話したいと言い張っているの」
朔は眉をひそめ、無意識に寧々の方を見た。
「仕事が大事よ、行って」
寧々は静かに言った。
凛がすかさず口を挟む。
「朔、安心して仕事に行ってきて。寧々さんのことは私がフォローするから」
朔はそこでようやく振り返り、立ち去る前に寧々に約束した。
「来年の花火大会には、必ず君が満足するまで一緒に回るからな」
寧々は彼が立ち去る背中を見つめていた。手に持ったりんご飴の表面に、少しずつ細かいヒビが入っていく。
凛が彼女の横に歩み寄った。その視線は彼女の手にあるりんご飴をかすめ、穏やかな口調で言った。
「ここのりんご飴、いつも人を楽しい気分にさせてくれるわよね。朔は本当にあなたのことを気にしているの。あなたが一人で落ち込まないか心配していたわ」
寧々は視線を上げた。
「そう?」
凛は微かに微笑み、遠くの賑わう人混みに目を向けた。
「私と彼は付き合いが長いから、どうしても意見が合わない時もあるわ。
彼は口下手でしょ。だから一番よくやるのは、私をこういう賑やかな場所に連れ出すことだった。口には出さないけど、その気持ちはちゃんと伝わってくるの」
寧々はしばらく沈黙し、静かに尋ねた。
「じゃあ、ここは以前に二人で来たことがあるのね?」
凛は答えず、ただ微笑んで言った。
「寧々さん、もう少し前へ行ってみましょうか。あの先にあるメッセージボードはとても意味のある場所で、たくさんの人があそこに願い事を残していくの」
彼女は寧々を先導して歩き、その巨大なメッセージボードの前で立ち止まった。
ボードには数え切れないほどの写真とメモが貼られており、無数の人々の青春と願いが記録されていた。
寧々の視線が無意識にボードを這い、やがて一枚の色褪せた古い写真で止まった。
上質な制服を着た少年時代の朔と凛が肩を並べて立っており、背景には夜空を彩る絢爛な花火が写っていた。
写真の横には、少し青っぽさの残る文字が書かれていた。少年だった朔の文字は、大胆で力強かった。
【君が笑ってくれるなら、授業をサボった甲斐があった】
そのすぐ隣には、凛の当時の、より清楚で整った文字が並んでいた。
【花火の光がずっと消えませんように。人の心がいつまでも青春の頃のまま、変わりませんように】
寧々は、ごくかすかに息をのんだ。
それらの文字が、写真に写る朔の見たこともないほど生き生きとした笑顔とともに、彼女の目の前で静止した。
まるで、彼女が一度も見たことのない朔の姿が目に浮かぶようだった。
あんなにプライドの高い彼が、凛と一緒に花火を見るためだけに授業をサボり、人混みの中でこんなにも幼く、しかし真剣な言葉を書き残したのだ。
アパートの部屋で彼女のために不器用に手料理を作り、彼女が何気なく口にした好みを密かに覚えていてくれた朔と、目の前の写真で得意げに笑う少年は、まるで別人のように切り離されていた。
凛は寧々の視線を追い、懐かしそうな口調で言った。
「まさかこの写真がまだ残っていたなんて。あの頃は、みんな若かったわね」
寧々は、すでに溶け始めているりんご飴をきつく握りしめた。ベタベタとしたシロップが指の間に滲み込んでいく。
自分が唯一無二の存在だと思い込んでいたものは、運命が弾き間違えたたった一つの音符に過ぎなかったのだ。
彼は結局、本来の軌道に戻っていく。そして彼女は、最初から最後まで、迷い込んだだけの挿話でしかなかった。
「結城さん」
寧々は視線を戻した。
「少し疲れたので、先に帰るわ」
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