
遅すぎた鍵を置いて
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『遅すぎた鍵を置いて』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約527字
大学受験が終わったあの日。私、結城紬(ゆうき つむぎ)はキャリーケースを引きずり、父の結城弘之(ゆうき ひろゆき)と母の結城恵美(ゆうき えみ)が暮らす都会のマンションへ再び足を運んだ。
ドアを開けた母は、ただ一言だけこう口にした。
「試験も終わったんだし、しばらく家でゆっくりしていくといいわ」
あくまで「しばらく」であり、「ずっと」ではないのだ。
結城家には3人の子供がいる。しかし、両親と一緒に暮らしているのは兄と妹だけ。私1人だけが、幼い頃から祖父母の結城泰造(ゆうき たいぞう)と結城小百合(ゆうき さゆり)の元に預けられて育った。
兄には専用の書斎があり、妹には自分の部屋がある。リビングのソファを寝床にしているのは、私だけだ。
歯ブラシも、スリッパも、タオルでさえも客用の使い捨て。当然、家の鍵すら与えられていない。
母からは「めったに帰ってこないんだから、鍵なんて必要ないでしょ?」と吐き捨てられている。
だからここへ来るたび、私は招かれざる客のようにドアの前に立ち、誰かが内側から開けてくれるのを待つしかなかった。
ところが今回、彼らはようやく私に1本の鍵を渡してきた。
兄の結城慎(ゆうき まこと)が私の手のひらに鍵を押し付け、笑いながらこう言ったのだ。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
目次試し読み3話
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