転生した後、夫の初恋の出産介助なんて引き受けない第2話
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美玲は顔面蒼白のまま、彼の腕の中で弱々しく身を縮こませた。
「澪士、この人と行って。私は一人でも産めるから……この人に手術なんてさせないで……私も、この子も、きっと殺される……!」
次の瞬間、美玲の足もとにどっと血が広がった。駆けつけた当直医が、すぐに彼女を救急処置室へ運び込んでいく。
中から聞こえていた泣き叫ぶ声が次第に弱まっていくのを聞いて、澪士はようやく少しだけ落ち着きを取り戻した。まるで、そのときになってようやく、私こそが妻だったことを思い出したかのように。
「澄乃。俺とあいつがどういう関係か、お前は聞かないのか?」
私は扉を閉め、彼の言葉を遮った。
「興味ないわ」
澪士はぴたりと私の後をついてくる。
「また怒ってるのか?でも、俺がいちばん苦しかった頃、そばにいてくれたのは美玲だったんだ。
この数年、あいつはずっとつらい思いをしてきた。少し気にかけるくらい、駄目なのか?お前は俺の金も愛情も全部手にしてきただろ。俺はただ、あいつに埋め合わせをしたいだけなんだ!」
私は足を止め、冷たく笑った。
「それで、子どもまで作って埋め合わせたの?」
彼は私をぐいと抱き寄せた。
「俺があいつに与えたのは子どもだけだ。愛しているのは今でもお前だけだよ。お前が産んだ子じゃないなら、俺は愛さない。
少しは大人しくしてくれ。あいつが無事に産んだら、結婚記念日はちゃんと埋め合わせする。な?」
――笑わせないで。
前世の私は、美玲の子を救うために必死だった。けれどその子はあまりにも早く生まれすぎていて、保育器に入れても、結局は助からなかった。
子どもの死を知った澪士は、完全に正気を失った。彼は私を地下室に閉じ込めた。
「そんなはずない。赤ん坊が死ぬわけない。ただ腹が減ってるだけだ。早く、お前が乳をやれ!助けて生き返らせろ!!」
彼は私の服を乱暴に引き裂き、冷たくなった赤ん坊を私の腕に押しつけた。見張りとして置かれていた男たちは、いやらしい目で私を見ていた。
澪士がその場を離れた途端、連中は一斉に私に群がってきて、胸元に顔を押しつけてくる。私は転がるようにして後ずさった。
すべてに絶望しかけた、そのとき――
突然、澪士が引き返してきた。けれど彼は、その場面を見ても私を助けなかった。
逆に平手で私の頬を打ち、吐き捨てるように言った。
「澄乃、お前はそんなに飢えてるのか?こんな屑どもまで誘惑するなんてな。いいだろう。望みどおりにしてやる」
彼は霧島家の力を使って、私を刑務所送りにした。その公開裁判は世間の注目を集め、大きく報じられた。
【嫉妬の末に妊婦を死なせた、倫理なき女医】
その見出しが、トップニュースのいちばん上に躍った。
【嫉妬で二人も死なせたのか?死刑にしろ、絶対に死刑だ!】
【こんなの、もう誰も安心して手術なんか受けられないだろ。医者が患者の死を願ってるかもしれないなんて】
弁護人は、澪士が手配した人間だった。最初から、私を守るつもりなど欠片もなかったのだ。
刑務所に入ってからも、澪士はなお私を逃がそうとしなかった。人を差し向け、執拗に私を痛めつけた。
それでも私は耐えた。いつか刑期を終えて出所し、少しずつでも自分の無実を明らかにすると決めていたから。
けれど、出所を目前にしたその前夜。何人もの男が、私の牢に押し入ってきた。
「子どもをずっと欲しがってたんだってな?だったら、俺たちのでどうだ?」
私はいたぶられ、引き裂かれるような苦しみの末に命を落とした。その痛みは、今もなお、身体の奥に残っている気がする。
私が黙ったままでいると、澪士はわざとらしいほど優しい声を出した。
「澄乃。結婚して七年だ。俺がどれだけお前に尽くしてきたか、お前がいちばんよく知ってるだろ。俺は誰のためでも、お前を傷つけたりしない。美玲を助けたいと思ったのも、ただ人が死ぬのを見たくなかっただけだ」
そう言って、彼は顔を寄せてこようとした。その瞬間、胃の奥が激しくせり上がった。
私はたまらず、その場で吐き出した。私を抱いていた澪士の腕が、ぴたりと止まる。
私は彼を突き飛ばし、ゴミ箱へ駆け寄ると、息もできないほど吐き続けた。
澪士は重い足取りで近づいてくると、何も言わずに私が吐くのを見下ろした。
そして、ふいに何かに思い当たったように目を見開く。
「……お前も、妊娠してるのか?」
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