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転生した後、夫の初恋の出産介助なんて引き受けない第1話

この話は約2524字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

結婚七周年の日、夫は急な予定を理由に約束をすっぽかし、私は病院の産婦人科へ戻って残業することにした。

真夜中、救急に運ばれてきたのは、取り乱したひとりの妊婦だった。妊娠後期の激しい性行為が原因で早産となり、さらに大量出血まで起こしていた。

だが、彼女は助からず、手術台の上で息を引き取った。手術室を出て家族に結果を告げようとした私が目にしたのは、本来フランスへ出張しているはずの夫だった。

夫は早産で生まれた子を抱き、私を指さして怒鳴った。

「お前は今まであれだけの人を助けてきたくせに、どうしてよりによって美玲を死なせた!最低な女め、お前に医者を名乗る資格はない!」

夫は、私が水沢美玲(みずさわ みれい)に嫉妬してわざと手術を失敗させたと思い込み、私を裁判にかけた。私は医師免許を剥奪され、服役の末、獄中でひどい仕打ちを受け命を落とした。

だが次に目を覚ましたとき、私は美玲が破水して病院に運ばれてきたあの日へと戻っていた。

美玲はその場にひざまずき、泣きながら私にすがってくる。

「あなたがこの病院でいちばん腕のいい先生だと聞きました。お願いです、私とこの子を助けてください……!」

私は彼女の手を振り払い、冷たく言い放った。

「今日は休みを取って離婚するんです。手術はしません」

* * *

真夜中、私・白石澄乃(しらいし すみの)は激しい性行為が原因で早産した妊婦を担当した。妊娠後期の激しい性行為が原因で早産となり、さらに大量出血まで起こしていた。

だが、彼女は助からず、手術台の上で息を引き取った。手術室を出て家族に結果を告げようとした私が目にしたのは、本来フランスへ出張しているはずの夫・霧島澪士(きりしま れいじ)だった。

夫は早産で生まれた子を抱き、私を指さして怒鳴った。

夫は、私が水沢美玲(みずさわ みれい)に嫉妬してわざと手術を失敗させたと思い込み、私を裁判にかけた。私は医師免許を剥奪され、服役の末、獄中でひどい仕打ちを受け命を落とした。

だが次に目を覚ましたとき、私は美玲が破水して病院に運ばれてきたあの日へと戻っていた。

美玲はその場にひざまずき、泣きながら私にすがってくる。

「あなたがこの病院でいちばん腕のいい先生だと聞きました。お願いです、私とこの子を助けてください……!」

私は彼女の手を振り払い、冷たく言い放った。

「今日は休みを取って離婚するんです。手術はしません」

その瞬間、美玲の目から大粒の涙があふれ落ちた。首元には、無数の赤い痕がびっしりと残っている。

生々しく、淫らで――早産に至るまでの行為がどれほど激しかったかを、何より雄弁に物語っていた。

「お金が足りないからですか?子どもの父親はお金持ちです。私の出産を引き受けてくれるなら、いくらでも払いますわ。百万?一千万?」

彼女は私の裾をきつくつかみ、行かせまいとした。

子どもの父親が金持ちだということくらい、私だって知っている。なにしろその父親は――私の夫なのだから。

私は床にひざまずく女を、冷ややかに見下ろした。美玲は腹を押さえ、痛みで顔をくしゃくしゃに歪めている。

前世の私は、そんな彼女を哀れに思い、急きょ当直を代わって出産を担当し、手術は一晩中続いた。

白々しい手術灯の下に七時間立ち尽くし、私は全身汗まみれだった。最後には立っていることすらやっとだった。

それでもどうにか踏ん張って手術室を出て、家族に結果を告げようとした。けれど、そこで待っていた家族は澪士だった。

「……何だって?美玲が死んだ?」

ほとんど意識も飛びかけていた私を、彼は平手打ちで床に叩き倒した。

「大量出血で助からなかっただと?」

彼は怒鳴り声を上げた。

「そんなはずない。美玲はずっと健康だった!お前、美玲が俺の初恋で、しかも俺の子を妊娠してると知っていたから、わざと担当を代わって殺したのか?」

澪士は私の首を力いっぱい締め上げた。

「お前を償わせてやる」

前世の私は美玲の子どもを救った。それなのに、最後に惨めに死んだのは私のほうだった。

だから今世では、彼女がどうなろうと、腹の子が生きようと死のうと、私には関係ない。

私が少しも動じないのを見ると、彼女の哀願の色は少しずつ消え失せ、代わりに陰険な表情が浮かんだ。

「あんた、自分が本当に婦人科の名医だとでも思ってるの?病院でどうやって今の地位にのし上がったか、私が知らないとでも?

覚えてなさいよ。うちの旦那が電話一本かければ、あんたなんてすぐクビなんだから!」

自分を救わせるため、彼女はずっと子どもの父親が澪士だということを隠していた。そのくせ、どこかで私に見せつけずにはいられないのだ。

彼女は腹を抱えながら、苦しそうによろめきつつ立ち上がった。当直医を探しに行こうとしたものの、痛みに耐えきれず、その場に崩れ落ちる。

私はもう彼女を顧みることなく、白衣を脱いで帰る支度を始めた。仕事を終えて、そのまま離婚しに行くために。

そのとき、不意に病院の入口から澪士が駆け込んできた。彼は今にも倒れそうな美玲を抱き留め、目を真っ赤にして声を荒らげる。

「どうして俺に黙って勝手に病院なんか来たんだ!」

美玲は力なく彼の胸にもたれかかり、弱々しく言った。

「澪士……私はただ、再会記念日に、あなたの子どもを産みたかっただけ……」

前世の私は、死ぬまで知らなかった。私たちの結婚記念日が――彼と初恋の女の再会記念日でもあったことを。

だから毎年この日になると、彼は決まって出張に出ていたのだ。

結婚して七年。夜ごと私にまとわりついて離れなかった澪士に、初恋の女とのもうひとつの家庭があるなんて、私は何ひとつ知らなかった。

しかも二人のあいだには、すでに子どもまでいた。

美玲は痛みで意識を失いそうになっていた。

そのとき澪士が顔を上げ、私を見た。一瞬だけ、その表情に気まずさが走る。

彼は美玲から手を放そうとした。だが次の瞬間には、逆にいっそう強く抱き寄せていた。

そして、白衣の下に私が結婚記念日のために用意していた赤いワンピースを着ているのを見るなり、たちまち激昂した。

「澄乃、こんなときに、お前はまだ結婚記念日を祝うことしか考えていないのか!少しは良心ってものがないのか。二つの命と結婚記念日と、どっちが大事なんだ!」

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