裏切りの婚約者が絶望するまで第2話
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オークションのあの夜は、俺にとって一生消え去ることのない忌々しい記憶だ。
すべては佑樹の自作自演だった。あいつは自ら親密な写真を流出させて世間の注目を浴びる裏で、すべての汚名を俺に着せたのだ。
俺がどれほど必死に釈明しても、雪菜は決して信じようとはしなかった。
俺が最も心待ちにしていた婚約の夜、俺は彼女の手によってオークションの壇上へと送られた。
黒いベール越しに、佑樹が背後から親しげに彼女を抱きしめ、二人が顔を寄せ合って囁き合っているのが見えた。
その瞬間、胸を激しくえぐられるような思いだった。
壇下からは、金持ちの女たちの、俺の体を品定めするような強欲な視線が突き刺さる。
「北原家御曹司の初夜、最高額を提示した方にお譲りします!」
俺は最後の一縷の望みにすがり、懇願するような目で雪菜を見つめた。
「俺は本当に、やってない……」
立ち込める紫煙の向こうで、彼女は冷酷で薄情な瞳を覗かせた。
「過ちを犯したなら、罰を受けなさい」
押し付けられる冷たい器具の数々が、俺に果てしない屈辱を味わわせた。
激しい痛みに全身が小刻みに震え、無意識のうちに涙がこぼれ落ちる。
まさか、彼女がこれほどまでに俺を憎悪していたなんて。
オークションが閉会したのは、すでに深夜のことだった。
俺が辱めを受けた写真の数々は、すでに帝都中に拡散されていた。
彼女とオークションの支配人の残酷な会話をこの耳で聞いた後、俺は現場に火を放った。
燃え盛る業火が焼き尽くしていくのは、俺と彼女の過去だ。
警察はすぐさま俺を逮捕した。
雪菜は思い切り俺を蹴り飛ばし、冷たく言い放った。
「佑樹が煙を吸い込んで、今も病院で緊急治療を受けているのよ!彼を焼き殺そうとするなんて、どうしてそこまで悪辣になれるの!
覚悟しなさい。今回ばかりは絶対に容赦しないから」
俺に実刑判決が下された日、雪菜は佑樹を北原家の正式な跡継ぎとして支持すると宣言した。
その日から、俺はすべてを失った。
刑務所での3年間。俺は便器のすぐ横で眠らされ、頭を押さえつけられてトイレの水を飲まされ、囚人たちから殴られ続けた。
生き残るために、俺は自らの拳で血路を切り開いてきた。
唯一の希望は、生きて出所し、両親が残した実家の屋敷を買い戻すことだけだった。
出所した日、俺は地下の闘技場へと逃げ込み、それ以来、感情を失った抜け殻のように生きてきた。
あの2000万円があれば、屋敷を取り戻す夢に一歩近づける。
そう思った瞬間、俺はハッと目を覚ました。目の前には真っ白な天井が広がっている。
「金は……振り込まれたか?」
目を覚まして最初の言葉がそれだとは思わなかったのだろう。闘技場の責任者はただ、重苦しい沈黙を返した。
俺はハンマーで殴りつけられたような衝撃を受け、堪えていた涙が止めどなく溢れ出す。
俺の馬鹿げた妄想だったのだ。雪菜が俺の思い通りにさせてくれるはずなどない。
「もういい、俺がもっと試合に出れば……」
「永真」
責任者はすぐに俺の言葉を遮り、その目には、隠しきれない同情の色が滲んでいる。
「お前……もう来ない方がいい。桐生社長からお達しがあったんだ。今後お前をオクタゴンに上げる奴がいれば、どこの誰だろうと社会的に抹殺すると」
そう言い残すと、彼はキャッシュカードを放り出し、逃げるように病室を去っていった。
一瞬にして、あらゆる言葉が胸につかえ、息が詰まって窒息しそうになった。
よろめきながら病院を飛び出すと、土砂降りの雨と涙が混ざり合い、視界をぐしゃぐしゃに滲ませた。
キャッシュカードを死に物狂いで握りしめる。屋敷を取り戻すという夢から、また一歩遠ざかってしまったことを俺は悟っていた。
気づけば、俺は実家の屋敷の近くまで歩いてきていた。
降りしきる雨の向こうで、雪菜は記者たちのフラッシュを浴びながら、佑樹の手をしっかりと握りしめていた。
「今日から、この屋敷は正式に佑樹のものになります!今後、彼が北原家の当主です!」
その瞬間、ひどい目眩に襲われた。
俺はついに、あの人の電話番号にダイヤルした。
「俺を、ここから連れ出してくれ」
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