裁かれた罪と、真実の愛の夜明け第2話
この話は約1716字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。
「どっちが酷いって言うのよ?私をこんな邸宅に閉じ込めて、毎日毎日あなたの無愛想なポーカーフェイスを見せつけて。こっちこそ、もううんざりなのよ!」
柊夜の瞳が冷ややかな光を放った。
彼は瑠奈の体を抱え上げ、肩に担ぐと、そのまま外へと歩き出した。
「瑠奈、俺がお前を甘やかしすぎたようだな!」
担ぎ上げられた瑠奈は、柊夜の肩をポカポカと叩きながらも、その顔には驕慢なまでの優越感が浮かんでいた。
「凛音のこと、死ぬほど愛してるんじゃないの?だったら凛音のところに行きなさいよ!毎日私にまとわりついて、どういうつもり?」
二人が振り返った瞬間、目の前に立つ凛音と視線がぶつかった。
柊夜の体が一瞬こわばったが、すぐに冷静さを取り戻し、瑠奈を無造作に地面へ下ろした。
彼は一歩前に出ると、凛音の顔にかかった後れ毛を優しく耳に掛け、甘く労わるような声を出した。
「凛音、どうしてここへ来たんだ?」
傍らにいる瑠奈は凛音をちらりと見やり、鼻で笑って言い放った。
「凛音、ご自分の旦那様をしっかり手懐けておきなさいよ。これ以上、私に付きまとわせないでね!」
見下すようなその口調には、凛音にしか読み取れない挑発と得意げな響きが滲んでいた。
柊夜が不快げに眉をひそめた。
「黙れ!」
まさか柊夜に怒鳴られるとは思っていなかったのか、瑠奈は呆然とし、たちまち目元を赤く染めた。
「柊夜、よくも私を怒鳴ったわね!あのババアへの償いに、できるものならもう一度私を拘置所に放り込んでみなさいよ!」
瑠奈は必死に涙をこらえ、唇を噛み締めながら走り去った。
柊夜は眉間を揉みほぐし、冷酷で嫌悪感に満ちた声を吐き出した。
「本当に甘やかされた。誰もが自分をちやほやすると思っている」
しかしその響きには、彼自身すら気づいていない寵愛が孕んでいた。
凛音の心は瞬時に氷のように冷え切り、指先の震えがどうやっても止まらなくなった。
彼女は顔を上げ、最後の藁にもすがるような思いで、柊夜を真っ直ぐに見つめた。
「瑠奈はお母さんを轢いてICU送りにし、お兄さんに濡れ衣を着せて拘置所に入れた。瑠奈をまた塀の中へ送り返してくれるわよね?」
柊夜は沈黙し、しばらく経ってからようやく口を開いた。
「今日の公判は、三日後に延期させた。
凛音、お義母さんの件は、告訴を取り下げてくれないか」
凛音の耳の奥でガンと凄まじい耳鳴りがし、全身の血液が一気に頭へ上るのを感じた。
「もし、断ったら?」
柊夜はわずかに眉を寄せ、困り果てたような、しかしどこか甘やかすような表情を浮かべた。
「凛音、わがままを言うな。お義母さんが当たり屋みたいな真似をしなければ、瑠奈が轢くこともなかっただろう」
凛音は怒りのあまり全身をわななかせた。
純子は瑠奈に悪意を持って撥ねられ、あまつさえ引きずられたのだ。今もまだ集中治療室で生死の境を彷徨っている。
そして蒼真は、ただ正当な裁きを求めただけなのに、瑠奈に強姦の濡れ衣を着せられて投獄された。
それなのに、柊夜は瑠奈の言葉ばかりを盲信している。
凛音は必死に涙を堪え、毅然と言い放った。
「告訴は取り下げない。瑠奈は罰を受けるべきよ!」
柊夜は深くため息をついた。
「凛音、忘れるな。蒼真はまだ拘置所の中だ。お前が告訴を取り下げさえすれば、蒼真は無事に釈放されるんだぞ」
まるで頭から氷水を浴びせられたかのように、凛音はその場に凍りついた。
瑠奈のために、柊夜が兄を盾にして自分を脅してくるなど、思いもよらなかったのだ。
「それに、俺がどんな仕事をしているか忘れたのか?俺が一言命じれば、この帝都で誰がお前の依頼を引き受けるというんだ?」
凛音は弾かれたように顔を上げた。
忘れるはずがない。帝都最大の法律事務所のトップである柊夜が鶴の一声を発すれば、この街で自分の依頼を受ける者など一人もいなくなることを。
唯一の拠り所だと思っていた柊夜が、今や自分を追い詰める加害者の片棒を担いでいるのだ。
凛音は胸の奥に込み上げる苦い感情を押し殺し、柊夜を真っ直ぐに見据えた。
「柊夜……もう瑠奈に心を奪われているの?」
「まさか」
柊夜の顔に瞬時に嫌悪の表情が浮かんだ。
「あんなわがまま放題のお嬢様、両家の親族の縁でもなければ、俺が相手にするものか」
縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)