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裁かれた罪と、真実の愛の夜明け第1話

この話は約2437字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

「御影柊夜(みかげ しゅうや)は妻を命よりも愛している」――世間はそう噂した。彼は星野凛音(ほしの りおん)のために身を挺して刃物を受け、土下座し、涙を流したこともあった。

だが、凛音の母が何者かに轢き逃げされ集中治療室へ送り込まれ、兄が強姦の濡れ衣を着せられて投獄された時、その元凶である白鳥瑠奈(しらとり るな)は、あろうことか柊夜によって帝都郊外の邸宅に囲われ、この上ない寵愛を受けていた。

彼は瑠奈に触れることすら惜しみ、瑠奈のために自制心を保ち、欲求を押し殺していた。

瑠奈を刑務所に入れないため、彼は凛音に告訴を取り下げるよう強要した。その結果、凛音の母は病院で惨死し、兄は実刑判決を受けた。

瑠奈が家に上がり込み、凛音の子供を死に追いやり、凛音を棒で打ち据えて関節をことごとく砕いた。

その一切を、柊夜は黙って見ていた。

それだけでなく、瑠奈のために自らの手で一面のバラ園を作り上げ、かつて凛音と分かち合った愛の記憶を、その鮮やかな赤で塗り潰した。

周囲が「やりすぎだ」と忠告しても、彼は冷笑を浮かべるだけだった。

「どうせ、凛音は俺から離れられない」

やがて絶望した凛音は、一枚の離婚届受理証明書だけを残して姿を消した。

彼はパニックに陥り、凛音を見つけ出すために帝都中を隈なく探し回った。

再会した時、凛音は別の男の手を引き、柊夜を見るその瞳には愛の欠片も残っていなかった。

過去に彼が与えた傷を、凛音は一つ残らず倍にして返す。

彼が今手にしているすべてを、少しずつ奪い、破壊し尽くす。

彼は目を赤く腫らし、凛音の視線が一度自分に注がれることだけを願い、持てるすべてを投げ出した。

だが、凛音が望むのは――彼との永遠の復讐劇だけだった。

* * *

公判の前夜、星野凛音(ほしの りおん)は管理会社からの電話を受けた。

「もしもし、凛音さんでしょうか。蒼凪山の中腹にある邸宅が火事になりまして。現在、御影さんと連絡が取れず、お手数ですがこちらへお越しいただき、ご対応願えませんでしょうか」

凛音の心臓がドクンと跳ねた。

その邸宅は、彼女と御影柊夜(みかげ しゅうや)の別邸だ。それがどうして燃えたりするのだろうか。

慌てて柊夜に電話して対応してもらおうとしたが、ふと思い出した。今日の公判に付き添うと約束していた柊夜が、今朝から姿を消していることに。

まさか、彼はその邸宅にいるのだろうか。

柊夜の安否が心配になり、裁判どころではなくなった凛音は、車の鍵を手に取り、彼を探しに邸宅へと急ごうとした。

その時、スピーカーから怒気を含んだ女の声が聞こえてきた。

「燃えたならそれでいいじゃない!私が喜ぶなら、山を丸ごと燃やしたって構わないって言ったのはあなたでしょ?」

凛音の頭の中でガンと鈍い音が鳴り響いた。白鳥瑠奈(しらとり るな)の声だ。

母の星野純子(ほしの じゅんこ)を車で轢いて集中治療室送りにし、さらに兄の星野蒼真(ほしの そうま)に強姦の濡れ衣を着せて投獄させた元凶だ。

凛音は足を止め、スマホを握る手を思わず強く握りしめた。

瑠奈は今頃、拘置所の中にいるはずではなかったのか。なぜ、二人の家である邸宅にいるのか?

電話の向こうからは、さらに瑠奈の苛立った声が聞こえてくる。それは、偏愛されていることを自覚している者特有の、傍若無人で傲慢な響きを帯びていた。

「柊夜、私を拘置所から引きずり出したからって何なのよ!あなたが百回捕まえようと、私は百一回逃げてやるわ!誰が毎日あなたの無愛想なポーカーフェイスなんて見ていたいもんか。もううんざりなのよ……」

「み、御影さん……」

管理会社の担当者も二人の声を聞き、気まずそうに声をかけた後、凛音に対してさらにばつが悪そうに言った。

「星野さん、御影さんと連絡が取れました。もう大丈夫ですので……」

電話は唐突に切られた。

凛音のスマホを持つ手は小刻みに震えていた。

結婚して五年。柊夜が凛音を命よりも愛していることは、誰もが知る事実だった。

だからこそ、瑠奈が故意に純子を轢き、蒼真に強姦の濡れ衣を着せて投獄させた時も、彼は迷わず動いた。

傘下のトップクラスの弁護士チームを即座に手配し、瑠奈を拘置所に放り込み、彼女に一生、刑務所の中で過ごさせると誓ったはずだった。

だが今、純子の事件の公判が目前に迫る中、柊夜は突然姿を消した。

そして元凶である瑠奈は、とうの昔に彼の手で拘置所から引きずり出され、あろうことか二人の別邸で囲われていたのだ。

胸の内に拭い去れない不安が広がり、凛音は車を飛ばして邸宅へと直行した。

邸宅に着くと、人だかり越しに、いつも冷淡で気高い柊夜が、険しい顔つきでジャケットを瑠奈の肩に羽織らせるのが見えた。

「瑠奈、お嬢様気取りでわがままを言うな!次逃げたら、その脚をへし折るぞ!」

凛音の心臓は、重い鉄槌で打ちのめされたかのような衝撃を受け、立っていることすらままならなくなった。

柊夜のその眼差しを、凛音は嫌というほど知っていた。

たとえ冷酷で苛立っているように装っていても、瞳の奥に潜む優しさと愛おしさは隠しきれていなかったのだ。

だが瑠奈は微塵も恩に着る様子を見せず、ジャケットを引き剥がして地面に投げ捨て、傲慢に言い放った。

「私を拘置所から出したからって、感謝するとでも思った?そもそも凛音の母親が当たり屋みたいな真似をして、狂ったように私に食い下がってこなければ、私がわざわざ彼女の兄に強姦の濡れ衣を着せる必要なんてなかったのよ!」

ジャケットは土ぼこりの中に踏みにじられ、泥にまみれて見る影もなく汚されていく。

凛音の心もまた、誰かに容赦なく踏みにじられたかのようだった。

そのジャケットは、結婚三周年の記念に彼女が柊夜に贈った大切なプレゼントだった。

柊夜はかつてそれを命のように大切にしており、以前の秘書がうっかり触れただけで解雇したほどだったのだ。

無惨に汚されたジャケットを見つめ、柊夜はさらに顔を曇らせ、瑠奈の腕を乱暴に掴んだ。

「瑠奈、図に乗るのもいい加減にしろ!」

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