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舟はもう、君を待たない

言語日本語
試し読み第1〜3話(当サイト)
掲載日
読み方横書き・縦書きを切り替え可

『舟はもう、君を待たない』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。

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冒頭試し読み第1話より・約562字

付き合って7年目の記念日、恋人の桐生未桜(きりゅう みお)は完成したばかりの舟の進水式を行った。

大勢の人が見守り、歓声を上げる中、俺の胸も激しく高鳴っていた。

いざ舟に乗ろうとしたそのとき、彼女の親友たちが声を潜めて話しているのが耳に入った。

「本当にこの舟、直樹にあげるつもり?晃平さんに怒られない?」

「そうだよ。晃平さんって結構気が強いし、あんまりやりすぎないほうがいいんじゃない?」

次の瞬間、未桜の何でもないような声が聞こえてきた。その口調には、妙な自信がにじんでいた。

「大丈夫。晃平なんてちょろいから。私のこと、死ぬほど好きだし。

それに、この水郷じゃ28歳になっても嫁をもらえなかったら、いつまでも結婚できない男だって笑われるの。だからあいつだって、騒ぐ勇気なんかないよ。

それに、婚姻届は晃平と出して、婚礼の舟は直樹にあげる。それなら公平でしょ。これで私も……心残りを一つ、なくせるし」

俺と結婚するのに、彼女の心にはまだ直樹への未練が残っていたのか。

ちょろい。

いつまでも結婚できない男。

その言葉の一つ一つが、耳の奥に鋭く突き刺さった。

喉の奥が締めつけられるように苦しかった。それでも、涙は出なかった。

ただスマホを取り出し、一通のメッセージを送った。

【母さん。言うとおりにするよ。俺ももう28歳だ。これ以上待つのはやめる】

※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む

目次試し読み3話

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