結婚記念日に、夫の秘書のために毒味をしろと?第2話
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「嘘をついちゃダメだよ!嘘つきは泥棒の始まりだからね!
お姉ちゃん、旦那さんすごくカッコいいね!二人の写真見せてくれない?」
その言葉に、私は言葉を詰まらせた。浩と連れ添って何年もなるけれど、二人の写真はスマホケースに挟んだこの一枚しかないのだから。
浩は写真が苦手だと言っていた。だから、入籍した時の写真しか手元にはない。
異変を感じ取ったのか、女の子の母親が慌てて娘を引っ張り寄せ、気まずそうに笑った。「すみません、子供の言うことですから、気にしないでくださいね」
私は首を振って、何も答えなかった。
スマホを手に取り、画面をぼんやりとスクロールした。
インスタを開くと、ちょうど瞳が1分前に更新したばかりの投稿が目に飛び込んできた。
投稿には、浩のインスタのスクリーンショットが一枚。そこにはこう書かれていた。【愛してる。一緒に過ごす今が一番の幸せ】
その投稿を見た瞬間、全身から血の気が引いた。震える指先で、浩のアイコンをタップした。
ストーリーには何もない。インスタは相変わらず鍵垢のまま。
何かが胸に刺さり、いてもたってもいられなくなった私は、相互フォローしている、サブ垢でこっそり浩のアカウントを見た。
そして、すべてを悟ってしまった。
浩のアカウントには、10分前に投稿されたばかりの写真があった。
瞳と頬を寄せ合う親密そうな写真と、豪華な食卓の光景だった。
その写真の料理は、今日浩が私に作ってくれたものと全く同じだった。
そこには、【誕生日おめでとう。お前のためなら何だってするよ】という言葉が添えられていた。
浩のインスタの固定表示は、瞳との婚約フォトで、それは3年前から掲げられたままだった。
私はその画面を見ながら、自分の財布から出した二人の写真と見比べた。
その対比はあまりにも残酷だった。瞳との写真の中の浩は、優しさに満ちた穏やかな表情をしていた。
私たちの写真で浩は不機嫌そうで、実はあの日、些細なことで口喧嘩をしたばかりだったことを思い出した。
私は震える手で、浩のタイムラインを一つ一つ確認していった。
浩は毎日のように更新を重ね、日に何度も投稿することさえあった。
何気なく写真を開くと、きらびやかな夜景を背景に二人で熱く口づけを交わしている様子が映っていた。
その日は大晦日だった。私が寒空の下、花束を持ってずっと広場で待ち続けたのに、結局浩からは【残業だから先に寝て】という短いメッセージが届くだけだった。
あの時、私たちは同じ広場にいたのだ。片方で花束を抱えて震える私、もう片方では抱き合い熱烈に愛を確かめ合う浩たちが。
次に見つけた写真では、観覧車の頂上でキスをしている二人。
その日のことも鮮明に覚えている。高熱を出した私が薬をお願いしたら、浩は電話越しにため息をついて、帰り際にコンビニで買ってきた胃腸薬を投げてよこしたのだ。
そして、今この投稿を見て分かった。あの胃腸薬は、私のために買ってきたわけじゃなくて、瞳の分のついでに買ってきただけなのだ。
次に表示されたのは、ペットを病院に連れて行く二人のお出かけ記録だった。
私はあの一生忘れられない日を思い出した。祖母が危篤になり、最期に浩を見ておきたいと手を握った日のことを。
私が何度かけても無視されていた電話が、ようやくつながった時、浩の口からは不機嫌な声だけが返ってきた。「急に仕事が入ったんだよ。遠出しているんだから、帰れるわけないだろう?」
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