私の鼓動が止まるとき第2話
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日記を書き始めて7日目、月例テストの最中に吐いた。
テスト用紙が配られると、教室中の音が、ふっと遠のいた。
試験監督の足音も、答案用紙をめくる音も、窓の外から流れる校内放送も、すべてが混じり合ってひとつの雑音になった。
鼓動だけがどんどん速くなり、胸を打つたびに痛んだ。
担任が私を支えて廊下へ連れ出し、お母さんに電話をかけた。
30分後、お母さんが学校へ駆けつけた。
担任が言った。
「顔色がよくありません。今日はもう帰宅させましょう」
「その必要はありません」
お母さんはバッグから、あの心理検査の結果を取り出した。
最近はいつも持ち歩いていて、折り目の縁はもう毛羽立っていた。
「数日前に検査を受けて、何の問題もなかったんです。それなのに月例テストのときに限って吐くなんて、こんな偶然がありますか?」
廊下には、ちょうど教室を出ていたクラスメートが何人かいて、検査結果と私を交互に見ていた。
担任が声を落とした。
「強いストレスが原因かもしれません」
お母さんの目がたちまち赤くなった。
「ストレスがあるのは、この子だけですか?私はこの子の世話で自分のこともできないんです。
心の病気だと言うから、すぐ検査に連れていきました。
結果には、はっきり病気ではないと出ています。それなのに、またこんな騒ぎを起こして。私はいったい、どうすればいいんですか?」
私はその場に立ち尽くした。クラスメートたちの視線が、針のように突き刺さった。
前のときも、テスト中だった。苦しくなって試験会場から飛び出した。
駆けつけたお母さんは、みんなの前でいきなり私の頬を叩いた。
「ほかの子はみんな平気なのに、どうしてあんただけ問題ばかり起こすの?」
具合が悪いと言えば、大げさだと言われた。動悸が激しくておかしいと言えば、テストから逃げたいだけだと言われた。
だから今回は、お母さんがこちらを向いて私に尋ねた。
「まだテストを受けられる?」
私はうなずいた。
「受けられる」
お母さんはようやくほっとした。
「ほら、この子も自分で受けられると言っています」
私は試験会場へ戻された。
最後列のそばを通ったとき、誰かが小声で言った。
「あの子、うつ病なんじゃなかったの?」
別の誰かが笑った。
「うつ病?なんちゃってうつでしょ。お母さんが検査結果まで持ってきたんだから、演技だよ」
何人かが口元を押さえて笑った。
私は席に戻り、ペンを手に取った。
テスト用紙の文字がひとかたまりに見え、私はそれを1文字ずつ書き写した。
それでも、最後までは耐えられなかった。
午後、担任に呼ばれて職員室へ入った。
お母さんはすでにそこに座っていた。
お母さんの前にはテスト用紙が広げられ、後半の大部分は空欄だった。
お母さんは私を見ず、先生の手を握ったまま、涙を次々とこぼした。
「先生には、私がどれほど大変か分からないんです。
この子が心に問題があると言うから、すぐ予約を取って検査に連れていきました。結果が出たのに、それでもこの有様です。
この子を満足させるには、私はどうすればいいのか、本当に分かりません」
職員室にいた先生たちが、みんなこちらを見た。
誰かがお母さんにティッシュを差し出した。
担任がため息をついた。
「親御さんも本当に大変ですね」
担任は私に顔を向けた。
「お母さんがこんなにあなたのことを考えているんだから、少しはお母さんの気持ちを分かってあげないと」
私はうなずいた。
「ごめんなさい、お母さん。私が悪かった」
帰宅すると、お母さんは途中までしか書けなかったテスト用紙を撮影し、親族のグループLINEに送った。
【今日も月例テストの途中で吐いて、答案も途中まで。試験になると、またぐずり出すのよ】
叔母さんからすぐに返信が来た。
【それはダメなの。まだ厳しくしないと】
叔父さんからは、こう届いた。
【打たれ弱すぎる。その点は姉ちゃんに似なかったんだな。姉ちゃんは昔から自立心が強かったのに、どうしてこんな意気地なしの子が生まれたんだろう】
最後に、お父さんから返信が来た。
【きっと一人でいるから、また余計なことを考えるんだ。これからは部屋のドアを閉めさせず、なるべく一人にしないほうがいい】
その晩、お父さんは工具を持って私の部屋に入ってきた。
ねじが1本ずつ床に落ちていった。
私はベッドのそばに立ち、ドアが取り外されるのを見ていた。
お母さんは腕を組み、部屋の外に立っていた。
「あんたは一人でいる時間が長いから、余計なことばかり考えるの。
前にまた大げさなことを言い始めたとき、ドアを外そうとしたら、あんたはどうしても嫌だと言った。でも、またこんなことをしたんだから、もう甘やかさないわ」
私は震えながら、必死にドアノブをつかんだ。
それは、私の心に残った最後の砦のようだった。
お願いしたかった。けれど、お母さんがどんなひどいことを言い、私のためだと泣きながら訴えるのか、そればかりが頭に浮かんだ。
そう思うと、何も言えなくなった。
その日から、私はもう部屋のドアを閉められなくなった。
着替えるときは、布団にもぐり込むしかなかった。
夜、眠れなくても、寝返りさえ打てなかった。
お母さんは何度も部屋の前を通っては、私が隠れて泣いていないか確かめた。
その日の深夜、お母さんはその夜四度目となる見回りに来た。
お母さんがお父さんに言うのが聞こえた。
「ほら、今はこんなに静かでしょう。
もっと早くこうすればよかったのよ。今までは甘やかしすぎていたの」
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