
私だけが、あなたの外側にいた
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『私だけが、あなたの外側にいた』は日本語の小説です。当サイトで第1話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約532字
泊まりに行くたび、前もって許可を取り、彼が下まで迎えに来るのを待たなければならなかった。
必要な線引きなんだ、と彼は言った。私はその考えを尊重していた。
けれど、ある日、予定より早く着いて電話をかけようとしたときのことだった。
エレベーターのドアが開き、彼の同僚の望月千晴(もちづき ちはる)が、カードキーでセキュリティ扉を通り抜けた。
そして、彼の部屋の前では指紋認証のセンサーに指を当てた。
ドアが開いた。
振り返って私に気づいた彼女は、一瞬、きょとんとした。
「どうしてここにいるの?怜司、今夜は都合が悪いって言ってたけど」
どうして指紋を登録してあるのか、私は尋ねた。
「去年からよ。よく猫にごはんをあげに来るから」
彼は、猫を飼っていることすら教えてくれていなかった。猫の毛にアレルギーがあるから、ペットは飼えない。そう言って、猫を飼いたいという私の頼みを、3回も断ったのに。
あとで千晴の投稿をさかのぼり、あの猫は、彼女が誕生日プレゼントとして贈ったものだったと知った。
私はスマホから、彼の家に行ってもいいか、いちいち確認していたメッセージをすべて消した。
怜司、あなたの引いた線が閉じ込めていたのは、私一人だけだった。彼女は、とうの昔に、あなたの領域の中で暮らしていたのに。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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