
灰燼に咲く紫の旋律
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『灰燼に咲く紫の旋律』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約571字
看守は結城澪(ゆうき みお)に小さな手荷物を手渡すと、重い鉄の扉を開けて彼女を送り出した。
「二度と同じ過ちを繰り返すんじゃないぞ。これからは真っ当に生きなさい」
澪は荷物をきつく握りしめ、すっかり荒れ果てた自分の両手を見つめていた。その顔から表情は失われ、瞳は虚ろだった。
自分は一体、どんな過ちを犯したというのか――彼女には、到底理解できなかった。
呆然と立ち尽くしていると、視界に一台の黒い高級車が滑り込み、彼女の前で停まった。
ドアを開けて降りてきた御堂湊(みどう みなと)が、骨ばったしなやかな手を差し出し、彼女を車に乗せようとする。
だが、澪はその手を冷たく躱し、自ら後部座席に乗り込んだ。
湊は宙に浮いた手を引っ込めてドアを閉めると、深いため息をこぼした。
「今日、迎えに来たのは俺だけだ。
君の出所日が、ちょうど柚奈のチェロの発表会と重なってね。ご両親と兄さんはそっちに行っている」
澪はゆっくりと視線を上げ、彼の端正な横顔を見つめて問うた。
「……どうして、あなたは行かなかったの?」
「え?」
湊は一瞬、呆気に取られた。
澪は無表情のまま、淡々と同じ言葉を繰り返す。
「どうして行かなかったの?あなたも、お父さんも、お母さんも、お兄ちゃんも……みんな、桜井柚奈(さくらい ゆな)のことしか愛してないじゃない」
湊は途端に顔を曇らせ、不快げに眉をひそめた。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
目次試し読み3話
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