
死んで五年、兄はまだ私があの子に謝るのを待っている
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『死んで五年、兄はまだ私があの子に謝るのを待っている』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約482字
親友の岡田由衣(おかだ ゆい)は、残っていたお金をすべてつぎ込んだ。それでも払えた安置費用はあと一週間分だけだった。
職員からはこのまま引き取り手が現れなければ遺体を火葬すると告げられた。
家族の引き取りがなければ、遺骨も施設側で処理されるという。
どうすることもできなくなった由衣は、ついに私の兄の松井直哉(まつい なおや)へ電話をかけた。
「直哉、妹同然に可愛がってるあの子のためなら、実の妹の遺体まで見捨てるつもりなの?」
兄は冷たく笑った。
「自分が悪かったと認めたくないからって、今度は死んだなんて嘘までつくのか?紗良に伝えとけ。死ぬなら今度こそちゃんと死ねって。数日したらまた何事もなかったみたいに戻ってくるのはやめろってな」
由衣にはもうどうすることもできなかった。結局、私、松井紗良(まつい さら)の遺体は火葬された。
そして由衣は私の死亡証明書を手に、兄の家へ向かった。
由衣が玄関のチャイムを鳴らしたとき、兄は石田真奈(いしだ まな)と食事をしていた。
外は雨だった。一刻を争う状況で、由衣には家へ傘を取りに戻る余裕もなかった。
そのせいで全身ずぶ濡れになっていた。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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