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柳散って人去りて

言語日本語
試し読み第1〜3話(当サイト)
掲載日
読み方横書き・縦書きを切り替え可

『柳散って人去りて』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。

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冒頭試し読み第1話より・約552字

夫を助けようとして両足が不自由になった私に、彼は深く心を打たれ、自ら結婚を申し出た。結婚後も「愛」という名のもとに、ささやかに私を支えてくれた。けれど、その思いは時が経つにつれて薄れていき、罪悪感に縛られたくない彼は、会社の社員と関係を持ち、子どもまで作ってしまった。

彼女は正妻の座を狙って裏でさまざまな手を使い、私は嘘と屈辱の中で生きるのがつらくなり、別れを決意した。

ところが愛人の企みを見抜いた夫は言った――「一生離婚なんてあり得ない」と。

雪が降っていた。

藤原美咲(ふじわら みさき)は車椅子を窓辺に寄せ、手を伸ばして雪のひとひらを受け止めた。雪はまだ溶けきらないのに、彼女は寒さで思わずくしゃみをした。

音に気づいた藤原恭介(ふじわら きょうすけ)が、慌ててキッチンから駆け出してきた。「どうした?」

彼は窓を閉めて冷気を遮り、ソファから毛布を持ってきて彼女の足に掛けた。しゃがみ込み、毛布の中に手を差し入れて、美咲の手を温める。その手は乾いていたが、心地よくあたたかい。

「どうして窓辺に座ってるんだ。風邪ひくぞ」

美咲はじっと彼の目を見つめた。その瞳は昔と変わらず澄んでいて、やさしさが含まれていた。

「お腹すいただろ。もう少しでできるからな」

彼女は無理に笑みを作ってうなずき、早く行ってと目で合図した。

※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む

目次試し読み3話

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