
愛が消えた時
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『愛が消えた時』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約555字
医者に「もう手の施しようがない」と宣告されたのは、ほんの数日前のことだった。
肺がんが全身に転移し、余命はわずか三日。
その言葉を聞いた瞬間、私はすべてを受け入れた。
何もできない。けれど、何かを残したい。
だから、自ら進んで臓器提供の同意書にサインした。
たとえ命が尽きても、私の体の一部が誰かの命を救えるのなら、それだけで十分だと思った。
病を告げられた時、私は家族に正直に打ち明けた。
でも、医者である姉は私がただの被害妄想に囚われているだけだと一蹴した。
「それは精神の問題で、癌なんかじゃない」と。
両親はすべてを姉に任せ、治療の方針も判断も、彼女の言うとおりに進められた。
その結果、私は確実に死に向かっていった。
そして、私が本当に死んでしまったそのとき、ようやく、両親も婚約者も、私の亡骸の前で泣き崩れた。
私はちょうど病院の入口に差し掛かったところだった。
その瞬間、鋭く突き刺さるような痛みが肺を襲い、思わず足が止まった。
激しい咳が止まらず、呼吸さえもままならない。
壁にもたれ、肩で息をしながら額には汗がにじむ。
そんなとき、背後から穏やかな男性の声が響いた。
「美月?」
佐藤健太(さとうけんた)だった。
私・中村美月(なかむらみづき)の婚約者であり、この町で裏の世界を牛耳るマフィアのボス。
私はとっさに身を引こうとした。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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