
想いの果てに、すべては消える
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『想いの果てに、すべては消える』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約542字
不倫から家庭に戻った妻の高城美晴(たかしろ みはる)に、僕はあの男ときっぱり縁を切るための面会を3回だけ認めた。
彼女はその機会を逃すまいと、彼と夕食を共にし、一緒にものを作る時間を過ごし、夜通し看病した。
戻ってくると、彼女はあの男にまつわるものをすべて捨て、あらためて僕の手を握った。
「信じて。もうあなたを裏切らないから」
それは、僕が運転中に血気盛んな若い男と衝突事故を起こすまでのことだった。
相手の男が苛立たしげに助けを求めて電話をかけると、聞こえてきたのは妻の親しい友人の声だった。
「美晴、行かないほうがいいよ。3回とも、もう使い切ったでしょ。今度行ったら、旦那さんはきっと離婚を切り出すよ」
続いて聞こえたのは、それでも動じない美晴の声だった。
「悠人(ゆうと)は孤児で、これまで誰にも愛されたことがないの。離婚を恐れているのは、私よりあの人のほうよ。
みんな、このことは黙っていて。ちゃんと分かってる。これが最後だから」
血だまりに横たわる僕は、心まで冷え切っていった。
目の前で余裕を見せる男こそ、彼女が心を捧げた浮気相手だったのだ。
20分後、もう家庭を裏切らないと誓った美晴が、血相を変えて病院へ駆け込んできた。
カーテンの向こうから、美晴の、心配と苛立ちの入り混じった声が聞こえた。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
目次試し読み3話
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