
彼の愛は、私にだけ届かなかった
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『彼の愛は、私にだけ届かなかった』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約502字
私、南沢枝里(みなみさわ えり)は、昔から何かあると誰かに話したくてたまらなくなる人間だった。
道端に咲いていた花。
口に合わなかったコーヒー。
仕事帰りに見上げた夕焼け。
ふとした拍子に婚約者の神崎照也(かんざき てるや)のことを思い出したことさえ、私にとっては誰かに話したい些細な出来事だった。
私はいつも、つい彼にメッセージを送ってしまっていた。
照也の返事は、いつだって短くてそっけなかった。
それでも必ず返ってくる。
その事実だけを頼りに、この半年、結婚準備も、ウェディングドレスの試着も、式場選びも、ほとんどひとりで進めてきた。
そうして、結婚式の直前までたどり着いた。
彼のパソコンの中に、あのAIプログラムを見つけるまでは。
結婚式の五日前だった。
そのプログラムは、私が送った文章を分類し、キーワードを拾い、もっとも無難で、もっとも面倒の起きない返事を自動で作るものだった。
会いたい、には「うん」。
つらい、には「わかった」。
けんか、には「騒ぐな」。
この半年、私の話したがりな気持ちを受け止めてくれていたのは、照也ではなかった。
その隣に開かれていた別のトーク画面には、彼と別の女のやり取りがびっしりと並んでいた。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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