
彼のいない七日目
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『彼のいない七日目』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約585字
あの時、彼には内村香苗(うちむら かなえ)という幼なじみの婚約者がいたなんて、私は知る由もなかった。
その後、父はスキャンダルに巻き込まれ、会社は破綻の危機に陥る。
なのに、恭介は香苗を家に迎え入れ、「彼女に盛大な結婚式を挙げてやる」と言い放った。
私は泣き喚きもせず、ただ黙々と荷造りを始めた。
すると恭介は冷ややかに笑って言う。
「そんな稚拙な駆け引き、もう通用しないぞ。まだ自分が向井家のお嬢様だと思っているのか?」
彼は知らない――
あの夜、酔っぱらった彼が書いた離婚届を、私がまだ持っていることを。
そして、あと七日もすれば、私は父と共にこの国を離れる。
父がグループ企業から海外支社へ飛ばされたその日、白石恭介(しらいし きょうすけ)は離婚したばかりの初恋の人を連れて帰ってきた。
彼は私の部屋に来ると、無表情で言い渡した。
「来週、香苗をここに住まわせる」
「これまで、俺は彼女にずいぶん迷惑をかけた。お前がどう思おうと、受け入れてもらう」
父は職場でのセクハラ疑惑に巻き込まれ、社長の座を降りたばかりだった。
なのに恭介は、一日たりとも待てないらしい。
私は顔を上げて彼を見た。
その目は真冬の氷のように冷たく、温もりの欠片すらなかった。
結婚して三年、私はとうとう彼の心の奥まで辿り着けなかったのだ。
慌てて顔を背け、胸の痛みを隠した。
「……うん、わかった」
どうせ、私はすぐにここを去る。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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