
寵を失いし宮女、後宮を去る
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『寵を失いし宮女、後宮を去る』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約490字
落ちぶれた皇子だった陸行舟(りく こうしゅう)が皇帝の座に上り詰めるまで、私は十年にわたり、ずっと彼に付き添ってきた。
それなのに、彼が即位したあと、私が真っ先にしたことは、宮仕えを辞す願いを出し、皇宮を去ることだった。
宮中のしきたりでは、女官は二十五歳になればお暇をいただくことが許される。今年で私は二十七歳。すでに二年も過ぎていた。いい加減、嫁ぎ先を探さねばならない年齢だった。
宮中の人事や財務、物資などを取り仕切る内務府で手続きを終えると、総管がひとこと言い添えた。半月のちに通行札を受け取りに来ればいい、それで晴れて宮を出られる、と。
その言葉を耳にした瞬間、胸のつかえがすとんと下りた気がした。
皇宮への帰途につき、自室のある殿の門までたどり着いたところで、ふいに目を奪われた。門前にずらりと膝をつく侍女や下働きたちの姿に。
誰もが泣きはらした目を真っ赤にし、小刻みに震えながら、まるで救い主でも見つけたように私を見上げる。
「明月(めいげつ)様!やっとお戻りになったのですね!」
私は一瞬言葉を失い、だいたいの事情を察した。
視線だけで皆をなだめ、頭を下げて殿内へと足を踏み入れた。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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