
嫌われた娘は、もう家には帰らない
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『嫌われた娘は、もう家には帰らない』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約529字
けれど毎年、4月の新学期を前にした引き渡しの時期になると、2人は決まって妹のことで言い争った。
「有希(ゆき)ちゃん、ゴールデンウイークはお母さんと旅行に行かない?」
父が眉をひそめる。
「今年は有希ちゃんを俺が引き取る番だ。口を挟むな」
母は冷ややかに笑った。
「去年、出張であの子をあなたに預けたのは、全部で17日よ。私はその分を取り戻すの」
「きっちり17日じゃない。16日と8時間だ」
妹は困ったようにため息をついた。
「はぁ……自分を二つに分けられたらいいのになぁ」
2人はさんざん言い争った末、結局はお互いに一歩ずつ譲ることになった。
ゴールデンウイークには、2人そろって妹を連れて浜島へ旅行に行くことになった。
妹は不思議そうに尋ねた。「じゃあ、お姉ちゃんは?」
父は顔を背けた。
「どうせ今年、お姉ちゃんを引き取るのは俺じゃない」
家に入ってから一度も私の顔をまともに見ようとしなかった母が、ようやく私に目を向けた。
「今年は仕事が忙しくて、あなたの面倒を見る余裕がないの。おばあちゃんとおじいちゃんのところで暮らしなさい」
テーブルの下で、私は指先で手のひらを血がにじむほど強く掻きむしった。
ついさっきまで、妹と過ごす17日間を取り戻そうとであれほど父と争っていたくせに。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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