嫌われた娘は、もう家には帰らない第3話
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今年の入学式、クラスの中で私の親だけが来なかった。
両親そろって他県に出稼ぎに行っている同級生が2人いたが、それでもそれぞれ1人はわざわざ帰ってきていた。
それなのに私の両親は、わずか数百メートル先の寮で、引っ越したばかりの有希の部屋の片付けを手伝っていた。
入学式に顔を出すための時間さえ、2人にはなかった。
在校生代表としてステージへ向かおうとしたその時、ふと、両親が険しい表情でこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
すると、小学校時代の同級生のお母さんが、嬉しそうに私へ手を振った。
「真季、お父さんとお母さん、道を間違えたみたいね。ちょっと遅れちゃったのよ」
私は皮肉な笑みを浮かべた。
きっと2人とも、知り合いから「親失格」だと思われたくなかったのだろう。だから、仕方なくおばさんに連れられて私の隣まで来たのだ。
母は苛立ったように愚痴をこぼした。「これ、いつまでやるの?有希ちゃんが寮で待ってるのよ。私がご飯を買ってあげないといけないのに」
父は我関せずと腕を組んだ。
「あとでお前が真季ちゃんと一緒に、あの何とかいう入場式参加してやれ。今年はお前があいつを担当する番だろ」
母は、前の生徒たちが記念写真を撮っている様子を見て、眉をひそめた。
「嫌よ。あんな恥ずかしいこと。みんなが見てるじゃない」
「お前が行けよ」
父は当然のように断った。
「俺はあんな目立ちたがりみたいなこと、絶対やらないからな」
2人は声を潜めて言い争い始めた。
先生が私の名前を呼んだことにも、2人はまったく気づいていなかった。
私は誰にも声をかけず、彼らの横をすり抜けて、1人でステージへと歩み上がった。
もし今日、両親と一緒にこの儀式をするのが有希だったら。
2人はこんな態度を取っただろうか。
答えは、きっと違う。
ステージでは、親友が私を待っていた。
両親の態度を話すと、親友は怒りながらも困惑していた。
どうして私の両親が、妹にだけここまで肩入れするのか、彼女には理解できなかったのだ。
私は静かに言った。
「昔は、自分の何がいけないんだろうって思ってた。
だから、ずっと一番を取って、お菓子もおもちゃも買わないで、家事も何でもできるようになって、誰から見ても聞き分けのいい子になろうとした。
でも、それでも2人は変わらなかった。何も変わらなかった。
それで、少しずつ分かったの。親のえこひいきなんて、そもそも理屈の通るものじゃないんだって。
もう、これからは2人を変えようなんて思わない。ただ自分のことを……
孤児だと思えばいいよね」
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