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妹を救った私は、炎の中に置き去りにされた第2話

この話は約1923字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

翌日は元日。

例年なら、母方の祖母の家へ新年の挨拶に行くはずだった。

けれど、今年はもう無理だった――妹がまだ入院している。

母は朝早くに帰ってきた。

足早に2階へ上がってくるその顔は、ひどく憔悴していた。

そしてそのまま、木板で釘付けにされた私の部屋の前に立った。

「美緒!」

母の声は甲高く耳障りで、誰もいない廊下に響き渡った。

「中で何を考えてるのか知らないけど、これだけは言っておく。もうあんたにはうんざりなの!

昨日の夜、叔父さんに電話したわ。明日、あんたを田舎に送るから。そこで思う存分反省しなさい。もしちゃんと改心しないなら、二度と帰ってこなくていいわ!」

その口調は冷たく、決然としていた。まるで私に判決を言い渡しているようだった。

「叔父さんの家は生活も楽じゃないから、ちょうどいいわ。そこで苦労して、少しは思い知りなさい。

毎朝5時に起きて、豚や鶏の世話をして、それから畑仕事。そうすれば、人を傷つけることなんて考える暇もなくなるでしょう」

私は母の前に浮かびながら、歪んだその顔を見つめていた。

「聞いてるの!?」

母は木板をバンバン叩いた。

「今すぐ荷物をまとめなさい。明日の朝一番で出発よ!」

返事はなかった。

母の顔がみるみる険しくなっていく。

「いい度胸ね……まだ私に逆らうつもり?いいわ。あんたが荷造りしないなら、私がやってあげる!」

母は踵を返すと、自分の部屋へ駆け込み、古いスーツケースを引っ張り出した。

そして少し考えたあと、スマホを取り出して私の番号に電話をかけた。

「おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません……」

私のスマホはポケットの中に入ったまま、そして今は、私と一緒に焼け焦げ、鉄くずになっている。

「そう……そういうことね」

母は怒りのあまり、逆に笑い出した。

そしてスマホをソファに叩きつけた。

「家出したってわけ?罪から逃げるために逃亡したのね!」

母はラインを開き、親戚のグループに音声メッセージを送った。

「みんな聞いて!うちの美緒、昨日火をつけて妹に火傷させたくせに、今日は姿をくらましたの!

私はもう一度だけチャンスをあげて、反省させようと思ってたの。それなのに、あの子ったら勝手に逃げたのよ!」

グループはたちまち騒然となった。

【えっ!?美緒がそんなことをしたの?】

【私は前からあの子はおかしいと思ってたのよ。いつも暗い顔してるし】

【きっと妹に嫉妬してたのよ。最近の子は本当に心が歪んでるわ】

【お義姉さん、早く警察に通報して!警察に連れ戻してもらいなさい】

母は次々と届く返信を見て、ますます腹を立てた。

その時、ふと視線がベランダに向いた。

そこには何鉢かの観葉植物が置かれていた。

ポトス、多肉植物、それから満開を迎えたツバキ。

どれも、私が育てていたものだった。

朝食代を少しずつ節約して、お金を貯めて買った。

学校から帰ってきたら、毎日一番に水をやっていた。

母は大股でベランダへ向かうと、ツバキの鉢を乱暴につかみ上げた。

「この恩知らず!」

ガシャーン!

陶器の鉢が床に叩きつけられ、いくつもの破片に砕け散った。

土があたり一面に飛び散り、ピンク色の小さな花びらがそこら中に落ちた。

陽の光を浴びたその花びらは、ひどく目に刺さるように鮮やかだった。

やめて……

私は慌てて駆け寄り、止めようとした。

けれど、私の手は母の身体をすり抜けてしまう。

母はそれでも気が済まなかったのか、今度は吊り鉢の植物をつかみ、床に叩きつけた。

ドンッ!

ドンッ!

1鉢、また1鉢。

土も、陶器の破片も、折れた枝葉も、床一面に散らばっていった。

「隠れやがって!逃げて、知らん顔してれば済むと思ってるの!?そう、あんたは逃げたのね?だったら、もう二度と帰ってこなくていい。

最初から、あんたなんて娘は産まなかったことにするわ!」

母は鉢を壊しながら、私を罵り続けた。

すべて壊し終えると、荒い息を吐きながらスマホを取り出し、再び親戚のグループに音声を送った。

「今から交番に行って、警察に通報するわ。あの子を連れ戻してもらう!こんな子は少年院にでも入れて、ちゃんと規則を教えてもらえばいいのよ!」

親戚たちは口々に賛同した。

【そうよ。それがいいわ!】

【お義姉さん、間違ってないわ!絶対に甘やかしちゃダメ!】

【そういう子は一度きつく叱れば、すぐ大人しくなるわよ!】

私はベランダに浮かびながら、床一面に散らばった破片と土を見つめていた。

ピンク色の花びらが風に舞い、くるくると回りながら、ゆっくりと萎れていく。

――お母さん、知ってる?今あなたが壊したのは、私にとってたった1つの幸せだった。

そして、あなたが私を送り込もうとしている場所へ……私はもう、永遠に辿り着けない。

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