夫の幼なじみと入れ替わり、私は身を引いた第2話
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翔太は一瞬考え込み、ふっと笑った。
「ははーん、わかったぞ。俺と理乃の写真にヤキモチを焼いてるんだな?」
彼の手が、私の腰を這うように撫でる。
「安心しろ。理乃と撮り直すときに、お前と撮る分も予約してやる。あいつの目の前で撮ってやるよ。それなら機嫌も直るだろ?ほら、早く立て。見られたらまずい」
翔太に引き起こされながら、私の心は底の底まで沈んでいった。
悠実が、私のタオルと服を持って戻ってくる。
「悠実、早くこっちに来て。拭いてあげるから」
翔太はぱっと私を放し、唇を引き結んで黙り込む。
悠実は何も気づかなかったような顔をしている。このふたりは、前からこんなに大胆だったのだ。そして私は、今までなんて愚かだったのだろう。
絶望に沈む私の顔など目に入らないかのように、悠実は優しげな声で着替えを促してきた。
ぼんやりしたまま浴室に押し込まれ、蛇口をひねる。鏡に映っているのは、翔太が散々疎んじていたはずの悠実の顔。私は声を上げて泣き崩れた。
しばらくして着替えを終えて出ると、悠実が嬉しそうに私の手を取った。
「翔太にも話したの。せっかく来たんだし、うちに何日か泊まっていって。部屋なら余ってるから」
悠実の意図がわからず、私は翔太に目を向けた。けれど彼は私に一瞥もくれず、冷たく言い放つ。
「理乃が頼み込むから泊めてやるだけだ。でなきゃ今すぐつまみ出しているところだぞ。この数日、理乃の話し相手になってやれ。さもないと、その場で追い出すからな!」
胸の奥がすっと冷えていき、思わず身震いした。悠実の狙いなど、わからないはずがない。私の目の前で、翔太といちゃつくところを見せつけたいのだ。
夕食の準備の時間になると、悠実が急に言い出した。
「悠実、前に魚の甘酢あんかけが得意だって言ってたよね。私、魚が一番好きなの。今日、作ってごちそうしてくれないかな」
魚料理なんて、私に作れるはずがない。断ろうとしたところへ、翔太の声が割って入った。
「食べたいって言ってるんだ、作ってやれ。おい、聞こえないのか?さっさと支度しろ!」
言い返す気力もなく、私は黙って台所へ向かった。
シンクの横には、丸ごとの魚が一尾置かれていた。
魚をさばいたことなどなく、どこから手をつければいいのか分からず途方に暮れていると、突然背後から抱きつかれ、思わず飛び上がりそうになった。
翔太だった。
「嬉しいだろ?何日も俺に会えるんだから」
吐き気がして、私は答えない。彼は構わず続ける。
「たかが魚一匹のことだろ。お前には俺がいるんだから、あいつに譲ってやれよ」
私は曖昧に笑ってみせた。
「彼女に気づかれるのが、怖くないの?」
拒まなかったのを見て、翔太も笑う。
「理乃は俺を信じきってるからな。疑うわけがない。夜は、いつもの段取りだ。ゲストルームで待ってろ」
言い残して、翔太は出ていった。
心臓がドクンと跳ねた。いつもの段取り?どういう意味?
考えがまとまらないうちに、悠実が余裕たっぷりの様子で入ってくる。
彼女はもう、取り繕おうとしなかった。
「理乃、私の身体、使い心地はどう?」
「やっぱりあなたね!」
私は思わず魚を放り出した。
「私の身体に何をしたの?早く元に戻して!」
悠実は口元を押さえて笑う。
「戻す必要、なくない?あなたの身体、案外悪くないのよ。あなただって、翔太と一緒にいるじゃない。不倫相手になった気分はどう?」
挑発するような視線に、頭に血が上る。気づけば私は、彼女を突き飛ばしていた。
悠実はよろめき、その手が、すぐ脇で煮えていた味噌汁の鍋に当たった。次の瞬間、みるみるうちに彼女の手に大きな水ぶくれができた。
「きゃあっ、私の手!痛い、手が痛い!」
悠実が泣き叫ぶ。
物音を聞きつけて、翔太がすぐに飛び込んできた。悠実を支えながら、憎悪の込もった目でこちらを睨みつける。
「悠実、よくも理乃にこんなことを!どこまで性根が腐ってるんだ!」
「違うの、わざとじゃない。ちょっと押しただけで……彼女が自分でぶつかったのよ」
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