ド近眼の私、ホラーゲームでは無敵らしい第2話
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逆に私は目が悪いから、走るのが遅くって、だから、みんなが選び終わるのを待つしかなかった。
結局、最後に残ったのは30階だけだった。
私が見えないのをいいことに、コメント欄はまた騒がしくなった。
【こいつ、絶対死ぬな。みんな知ってる通り、階が上なほどボスのレベルも高いんだよ】
【特に30階はヤバいボスばっかで、『死の家』って呼ばれてるくらいだし】
一方で、30階に着いた私はぐるっと見回してみたけど、現実の世界とあんまり変わらないように感じた。ただ、ちょっと血の匂いが強くて、壁が赤っぽくて、温度が低くて、照明が暗くて……だけじゃん。
しかも、よく見るとここは広々としたワンフロアじゃない。それに、私がずっと夢見てた家族までいるなんて、感激。
だって現実の私は、ド近眼の役立たずなだけじゃない。みなしごで、超ド貧乏なんだから。
私はドアまで歩いていくと、ためらわずに手を伸ばして、力いっぱいドアを叩いた。そして大声で叫んだ。
「ただいま!帰ってきたよ!もうお腹がすいて死んじゃいそうだよ!」
するとコメント欄は一瞬にして唖然とするコメントで埋め尽くされた。
【こいつ、ただ死にたいだけだろ?普通のプレイヤーなら、もっと丁寧にお願いするか、ドアの前で化け物の機嫌が良くなるまでおとなしく待つもんだ】
【もうこんなバカみたいな女の配信なんて見たくない。他のライブルームに切り替えようよ。直美さんの方にしようよっと】
【いや、見続けようぜ!こいつがどんな死に方するのか、逆に見届けたい!】
でもそれは、リスナーが私の思考回路を理解してないだけなのだ。
だって、これは仮想生活のゲームなんだから。化け物と家族になるには、できるだけ自然に振る舞うのが一番なのだ。
自分の家に帰るときに、「こんにちは、どなたかいらっしゃいますか?ドアを開けてください」なんて、わざわざ丁寧に言わないよね?
ほどなくして、「ギィ」って音を立ててドアが開いて、ひんやりとした空気が私の全身を包み込んだ。
気持ちよくて、私は思わずため息が出ちゃった。ここは最高の避暑地だね。これなら夏もエアコンいらずだ。
そして足元を見ると、小さな赤い「人影」がいた。
目がぼやけてよく見えないけど、2つのおさげが揺れているのはわかった。きっと、赤いワンピースを着た子供だろう。
その子は不気味に笑うと、いきなり私に飛びかかってきた。そして、冷たい小さな手で私の首を絞めてきたんだ。
だけど私はそのままその子を抱きしめた。そしてふいに、ワンピースがびしょ濡れなのに気づいて、私は不満そうな声で言った。
「子供が濡れた服を着てちゃダメでしょ!早く脱いで!きれいな服に着替えさせてあげるから!」
そしてくんくんと鼻を動かすと、血の匂いがしたので私は焦って尋ねた。
「もしかして、どこか怪我したの?救急箱はどこ?手当してあげるから」
この時コメント欄では、もどかしそうなツッコミが飛び交っていた。
【おい、その目は節穴か、かっぽじってよく見ろよ!これも『死の家』のボスと言えるだろう!それにそいつは濡れてる赤いワンピースを着てるんじゃなくて、プレイヤーを殺してバラバラにしたから返り血をあびてワンピースが赤く染まってんだよ!血の匂いもそいつが怪我したんじゃなくて、ワンピースについたプレイヤーの血のせいなんだ!】
【まあいいさ。どうせあの方が帰ってきたら、こいつも終わりだ】
でも、私にはそんなコメントは見えないから、何事もなかったかのように子供を抱きかかえて家の中に入り、赤いワンピースを脱がせてあげた。そして、彼女の可愛い子供部屋から新しい白いワンピースを見つけて着せてあげた。
すると私の首を絞めていた子供の小さな手は、いつの間にか力が抜けていた。
子供が戸惑っているのを感じて、私は温かいタオルを手に取り、少し顔を近づけて、彼女の顔についている血の汚れを少しずつ拭き取ってあげた。
これでやっとはっきり見えた。すごく可愛い女の子だったんだ。
私はにっこり笑って自分の頬を指さして言った。「家族なんだから、助け合うのは当たり前でしょ。でも、お礼にチューしてくれてもいいんじゃない?」
女の子はもじもじと白いワンピースの裾をいじりながら、そっと私の顔に近づいてきた。そして、「チュッ」とキスをすると、すぐに顔を離した。
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