ド近眼の私、ホラーゲームでは無敵らしい第3話
この話は約1491字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
それと同時に「ありがとう、ママ」というか細い声が聞こえてきた。
は?ママ?
まさかの、ママデビューしちゃった。
やばい、これ最高じゃん。
だって、私、出産中に命を落とす話をよく聞いてたから……家族は欲しかったけど、子供を産むのだけはすごく怖かったんだ。
女の子をあやして、お昼寝させたところで、突然、機械的な声が聞こえてきた。
「初期プレイヤー:30名。現在の生存者:20名」
まさか、家を選ぶだけで、10人ものプレイヤーが死ぬなんて。
私はスマホを開いて、目の前に近づけて、やっと画面の文字が読めた。
どうやらプレイヤーのグループチャットで情報交換が始まったらしい。他のプレイヤーがどうやって死んだかとか、そういう内容だ。
そして情報によると、さっきの竜也と他の男3人が、3階の部屋を奪い合って大喧嘩したそうだ。
最終的に、竜也がなんとか勝って、3階に入居したらしい。
でも竜也がドアをノックして開けた途端、犬の頭をした人型の化け物が出てきた。そして、大きな口を開けて、彼を丸呑みにしてしまったんだって。
最後には、くちゃくちゃと口を動かして、肉片がついた骨を数本吐き出したらしい。
そして、その半開きになったドアの向こうには、たくさんの白骨が見えたそうだ。あれは全部、昔のプレイヤーの遺骨だったのかもしれないって、みんな推測してるようだった。
これを目の当たりにして、新米のプレイヤーはほとんどパニック状態になった。
まだ初日なのに、今は、直美と幸太以外の全員の恐怖値が、50にまで跳ね上がっている状態だ。
他にも、ある中年の男が、10階のドアに入った瞬間に、恐怖値が100まで急上昇して、即死したそうだ。
他のプレイヤーたちも、化け物に殺されるか、恐怖で死ぬかで様々な死に方をしてしまったようだ。
まあ、どれも私には関係ないけど。
私は立ち上がった。女の子が寝ている間に、バスルームからモップを見つけてきて、家全体を掃除することにした。
赤い床のタイルは、私がゴシゴシ磨きすぎて、真っ白になった。それを見て、私は思わず自分の仕事ぶりに感心してしまった。
壁にこびりついていた赤いシミは、どうしても落ちなかった。だから、とりあえずヘラで削り落とすことにした。
掃除が終わった頃にはもう午後だった。腰が痛くなるほど疲れて、私は女の子の隣のソファでぐっすり眠ってしまった。
次に目を覚ました時、私は冷たい気配に包まれていた。
部屋は薄暗く、目の前にはぼんやりとした黒い影が立っていた。
はっきりとは見えなかったけど、彼が発した最初の一言で、私はその声にやられてしまった。
黒い影は低くてセクシーな声で、軽く笑った。
「へえ、面白いな。まさか光希の手にかかっても生き延びてこれたとは」
するとすぐに、血濡れの姫の冷たい声も聞こえてきた。
「彼女に手を出すな。このママ、ちょっと面白いから、しばらく遊んでみる」
だが男は返事をせず、大きく手を振った。すると血濡れの姫はソファから吹き飛ばされて、「ドン」という大きな音と、骨が砕けるような音を立ててベランダのガラスに激突してしまった。
男は鼻で笑った。「君ごときが俺にそんな口の利き方をしていいと思ってるのか?調子に乗るな」
それを見て我慢できなくなった私はソファから飛び起きて、口早に言った。
「子供になんてこというの、許さないわ!父親としてありえない!」
だが、男の顔をひっぱたこうと思ったのに、どういうわけか、手が滑って、彼の腹筋を鷲掴みにしてしまった。
うわ、この手触り……あまりにもよかったから私は思わず、2、3回なでてしまった。
そして、男が黒いオーラ立ち込めて怒り狂う寸前で、私は慌てて取り繕った。
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