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ド近眼の私、ホラーゲームでは無敵らしい第1話

この話は約1727字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

ホラーゲームに入り込んだ私は目がすごく悪くてよく見えなかった。

だから、血濡れの姫を本当の娘みたいに可愛がったり、ラスボスを夫みたいに扱ったり、年老いた化け物を実の親みたいに敬ったりしていた。

初めてラスボスに会ったときなんて、思わずその腹筋をわしづかみにしちゃって、こう言ったのだ。

「わあ、すごい体してるね。でも、ちょっと背が低いのがもったいないかな」

そう言われボスは言葉を失ったけど、手に持っていた自分の首を体にくっつけると、歯ぎしりしながら言った。

「俺は身長186センチだ。さあ、もう一度よく見てみろよ」

* * *

「ようこそ、『ハッピーホーム』へ。

このステージで7日間生き残れば、クリアとなります。

初期プレイヤー:30名。現在の生存者:30名。

それではプレイヤーの皆さん、ゲームをお楽しみください」

交通事故で死んだ後、私はまぶしい光に包まれた。気がつくと、大きな建物の前に来ていて、耳元では不気味な機械音が響いていた。

私は極度の近視で、3メートル先は人間も動物も見分けがつかないほどだ。

だから、建物の様子も、周りの人たちの顔もはっきり見えなくって、ただなんとなく人の形がわかるだけだ。

その時、か細い声で泣いている女の子・陣内彩花(じんない あやか)が言った。「うう……ここどこなの?家に帰りたい」

一方で、金髪の男・西村竜也(にしむら たつや)が荒々しく怒鳴っていた。「ふざけてやがって!とっとと俺を帰せ!」

そうこうしている、落ち着いた雰囲気の男女が現れた。ベテランプレイヤーの森田直美(もりた なおみ)と大野幸太(おおの こうた)と名乗り、親切に状況を説明してくれた。

ここは無限に続くデスゲームの世界で、連れてこられたのは、みんな一度死んだ人間らしい。

すべてのステージをクリアして、伝説の9999ポイントを貯めれば、生き返ることができるというのだ。

生き返れると聞いて、私はすかさず質問した。「じゃあ、ステージを1回クリアするごとに、どれくらいポイントがもらえるの?」

そう聞かれて直美の表情はどこか暗かった。彼女は低い声でこう言った。「それはね、クリアした時の恐怖値によるの。低ければ低い方がいいけど、恐怖値が99だったら、もらえるポイントはたったの1。もし恐怖値100になったら、その場で死ぬことになってしまうの」

恐怖値とは、その名の通り、恐怖を感じた度合いのことだ。

ベテランプレイヤーはゲームに慣れているから、だいたい恐怖値を60以内に抑えられるらしい。

でも、新米プレイヤーは、かなり悲惨なことになるそうだ。

それを聞いて私は顎に手を当てて、また質問した。「じゃあ、もし恐怖値0でクリアしたら、その時は100ポイントもらえるということ?」

その言葉を言った瞬間、私の知らないところで、私の行動のすべてが配信されているライブのコメント欄では、私をあざ笑う言葉であふれかえった。

【この新人、大口叩きすぎ!『ハッピーホーム』はS級だから難易度が最高ってわけじゃないけど、そのえげつなさで、いまだに誰も初回クリアできてないのに!】

【確か、この前の第一ギルドの亮太様もここでやられたんだっけ?6日間粘ったのに、結局死んだよな】

【最悪だ、今回マッチングしたベテランが直美さんと幸太さんだけか。彼らを合わせても亮太様に及ばないし、こりゃ今回も全滅だな】

……

すぐに、私たちは部屋を選択させられることになった。

直美の話では、このステージをクリアした人はまだいないけど、先に死んだプレイヤーたちが少しだけ攻略のヒントを残してくれたらしい。

この建物は全部で30階建てで、各階に住めるプレイヤーは1人だけだ。

しかも『ハッピーホーム』というゲームは、いわゆるコスプレ系のホラーステージなんだそうだ。

それぞれの部屋には化け物が住んでいて、そいつらがプレイヤーの家族や恋人など、親しい間柄の役を演じているらしい。

そんな相手と7日間も一緒に暮らすんだから、恐怖値が激しく上がるのも当然だ。

そこで、幸太は慌てて説明を続ける直美の言葉をさえぎると、彼女を引っ張って、それぞれ1階と2階の部屋を選んだ。

ベテランプレイヤーのその動きを見て、勘のいい人たちもそれに続いて、次々と低い階の部屋を選んでいった。

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