ただ家を彼に名義変更しただけで、離婚までしなきゃいけないの?第2話
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病院で2時間点滴を受けた後、外に出ても佐羽の車はなかった。
体調がかなり悪かったので、我慢できずにタクシーで帰った。
僕の携帯が切れたのは、わずか2分前だった。
つまり、彼女は最初から迎えに来るつもりなどなかったのだ。
かつて佐羽は僕に対して細やかな気遣いをしてくれた。それがいつから冷たくなったのだろう?
「君が僕をブロックしたから、電話がかけられなかったんだ」
佐羽は少し驚き、怒りが少し和らいだ。
「お腹が空いてるだろうと思って、夜食を持ってきたよ。ニラ雑炊だよ」
僕はそのニラ雑炊を見つめた。
葱が少し乗っているだけで、卵も見当たらなかった。まるで誰かの食べ残しのようだ。
30分前、瑛都がInstagramに投稿していた。
写真には、佐羽が台所でニラ雑炊を作る姿が映っていた。
「世の中には良い女もいるんだよな。深夜にベンツでドライブしてくれるだけじゃなく、腹が減ったらニラ雑炊まで作ってくれるんだから、最高」
自嘲気味にニラ雑炊をかき混ぜると、胃がムカついてきた。
「捨ててくれ、食べたくない」
佐羽の顔色が一瞬で曇り、冷たく睨んだ。
「何を言ってるの?わざわざ持ってきたのに、捨てるなんて」
「瑛都に家を譲ったからって、不満なの?住んでいいって言ったでしょ?子供の進学が決まって感謝の投稿をしただけ。それを皮肉るなんて、私だって文句言ってないのに」
腹部の傷口と脚の怪我で、もう疲れ果てていた。
「誤解だよ。彼が投稿した不動産証書の住所が、僕たちの家だったから驚いただけだ」
佐羽は苛立った様子で遮った。
「私が誤解?瑛都の言う通りね。あなたは本当に器が小さい!私が他の男と少しでも関わると、すぐ疑う。問題はあなた自身よ!」
以前なら、何とか理解してもらおうと反論しただろう。
今はただ冷たく彼女を見つめるだけだ。
彼女がヒステリックに罵倒し終えるのを待って、静かに言った。
「終わった?じゃあ、電気を消してくれ」
佐羽は冷たく睨みつけ、電気も消さずにドアを叩きつけるように出て行った。
数秒後、また玄関のドアが閉まる音がした。
彼女が瑛都の家に行くと、以前は眠れなかったものだ。
今夜は、驚くほど快適に眠れた。
翌朝、離婚について弁護士に相談するため、友人に頼んだ。
あの日以来、佐羽は3日間姿を消した。
次に見かけたのは、菜々花がInstagramにアップした旅行写真だ。
佐羽と瑛都がカップルのように並んで写っていた。
僕は黙って「いいね」を押した。
するとすぐに佐羽から電話がかかってきた。
「後で迎えに行くから、一緒に海に行って友達に会おう」
少し間を置いて、こう続けた。
「本当はあなたを呼ばなくてもいいけど、最近のご褒美よ」
「うん」
離婚はすでに手続き中だが、彼女にはまだ黙っておく。
佐羽が迎えに来た。珍しく瑛都は一緒にいない。
海に着くと、菜々花が笑顔で近づいてきた。
「前回のこと、私が悪かったわ。後でお酒を飲むから許してね」
彼女は僕の立場を立てるために謝ったのだ。
僕は軽く笑って言った。「最近、会社のことが多くて、何日も忙しかったんだ」
「分社を松阪市に出すんでしょ?おめでとう」菜々花はにこやかに言った。
「計画はあるけど、まだどうなるか分からないよ」
その時、佐羽が苛立った様子で言った。
「松阪市に行くの?私に相談もなく?許可した覚えはないけど?」
僕は頭を少し横に向けて、静かに彼女を見つめた。
周りの空気が再び固まった。
佐羽はまだ大声で僕に問い詰めていたが、菜々花が何とか場を和ませて、僕たちを焼肉へ誘った。
スタッフがすぐに焼肉用のグリルをセットし、佐羽は僕の隣に座って珍しく慌てた表情を見せながら言った。
「瑛都と約束したの。子供が小学校を卒業したら、家を戻すって」
「私の家なんだから、もともと説明する必要もないんだけど」
「そう」
僕が淡々と答えた。
その時、遠くから見覚えのある姿が近づいてきた。僕の笑みが一瞬で固まった。
菜々花の友人の1人が手を振った。
「お義兄さん!佐羽さん、ここにいるよ!」
その瞬間、全員が息を呑んだ。
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