いつだって、花嫁は私じゃない第2話
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なのに若菜のこととなれば、手間も暇も金も惜しまない。
若菜は目を赤くし、まるで私が悪者であるかのように震えている。
「哲也くん、もうやめて。七海さんがもっと嫌いになっちゃう……
私、一人で何とかなるから。だって、おばあちゃんがいなくなったら、もう誰も私のこと……」
哲也が突然、怒鳴り声を上げた。
「七海!彼女を追い詰めて満足か?
聞き分けがない!なんでこんな日に無理難題を押し付けるんだ!」
その言葉に、鼻の奥がツンと熱くなった。
でも、涙を見せたくなかった。
私はスマホを取り出し、哲也の目の前に突きつけた。
画面には、七回分もキャンセルされた結婚式の記録が映し出されていた。どれも、私一人だけが取り残されたものばかりだった。
「七回よ。七回もあなたとの結婚式を待ち続けたのに、その度にこの女のせいで台無しにされた!
その度にあなたは、私が聞き分けがないと言い、彼女が可哀想だと言った。
そして今日、あなたはついに式を挙げた。私ではなく、彼女と」
私は彼を真っ直ぐに見据えた。
「哲也、あなたに人間の心はあるの?」
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ホールは水を打ったように静かになった。
次々と入場してくる招待客たちは、私に気づき、ひそひそと囁き始めた。
床に落ちたスマホを見つめる哲也の顔は、青くなったり赤くなったりと忙しい。
七年前に哲也と出会った時のことを思い出した。
彼はバーで泥酔していた。
若菜が金持ちの男と駆け落ちするために、哲也の貯金をすべて持ち逃げして捨てたからだ。
彼をアパートへ引きずって帰り、顔を拭き、味噌汁を飲ませたのは私だった。
あの時、彼は私を抱きしめて泣きながら言った。「もう女なんて信じない」と。
屋台で安上がりな食事を共にしたのも、ボロアパートで寄り添ったのも、全財産を投げ打って彼の起業を支えたのも、全部私だ。
それでも、あの頃は幸せだった。
「七海、俺が成功したら、世界一豪華な式を挙げる。若菜みたいな金目当ての女を見返してやる」
苦しい生活の中で、彼はそう誓ってくれた。
やがて彼は本当に成功した。
私たちは最初の結婚式を準備した。
その結婚式の前日、若菜が帰国した。
「闇金に追われて、身売りさせられる」と、若菜の泣き声ひとつで、哲也はドレスを試着していた私を置いて飛び出した。
私はブライダルショップで朝まで一人、待ち続けた。
そして、式も中止になった。
「命がかかってたんだ。七海は優しいから、わかってくれるよね?」
私は彼を許した。
二回目は式中の出来事だった。
誓いの言葉を言おうとした瞬間、入院着を着た若菜が乱入し、バージンロードで倒れた。
哲也は狂ったように若菜を抱き上げ、列席者の好奇の目に晒される私を置いて去った。
「若菜はうつ病なんだ。刺激に弱いんだよ。七海、次は必ずやるから」
三回目、四回目……そして七回目。
もう結婚式なんて贅沢は言わない。ただ穏やかな生活が欲しかった。
戸籍上の妻でいられれば、毎晩帰宅してくれるだけで、我慢できると思っていた。
彼はただ情に脆いだけだと、自分に言い聞かせて。
けれど、目の前のこの豪華な結婚式を見て、若菜が着ている私のドレスを見て、ようやく気づいた。
私の譲歩は、哲也の傲慢さを育て、若菜の図々しさを付け上がらせただけだった。
私の七年の人生は、ドブに捨てられたのだ。
若菜が黙り込んだ哲也を見て、私の袖を掴もうと近寄ってきた。
「七海さん、哲也くんを責めないで。全部私のせいなの」
私は冷たく彼女を見据え、手を振り払った。
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