
あなたの声を最初に聞くはずだったのに
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『あなたの声を最初に聞くはずだったのに』は日本語の小説です。当サイトで第1話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約528字
でも、若博が手話で[静かに過ごしたいから、一人で座りたい]と伝えてくれば、「先生。若博くん、私がいないと困るから隣の席がいいって」と訳した。
そして、彼が[部屋は黒を基調にして窓も小さめがいい]と手を動かせば、私は若博の母親に向かって平然とこう伝えた。「大きな窓にピンクのカーテンがいいって。朝から陽がいっぱい入る部屋が好きみたいだから」
そんな若博が、ある日、手話で私のことを嫌いだと告げてきた。
どうせ若博が素直になれないだけだと思った私は、ケーキを彼の口に押し込んで笑い飛ばす。
「じゃあ誰が好きなの?新しく来た転校生?」
彼は私をちらっと見て、勢いよく首を横に振った。そして手話で伝えてきた。
[まさか。ああいうタイプは好きじゃないよ]
それですっかり安心した私は、相変わらず若博のあとを追いかけていた。
けれど日直だったあの日、私は転校生・西野麗奈(にしの れいな)に宛てたメモを拾った。
【麻美ちゃんがわざと変なふうに訳すかもしれないと思って、あんなふうに否定したんだ。だから、怒らないで。
僕が一番好きなのは麗奈ちゃんだよ。だから、同じ大学を目指そう】
あとになってわかったのだが、声を出せない人から離れることは、驚くほど簡単だった。
目を閉じるか、無視すればいい。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
目次試し読み1話
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