
あなたのいないこれからは、幸せばかり
| 言語 | 日本語 |
|---|---|
| 試し読み | 第1〜3話(当サイト) |
| 掲載日 | |
| 読み方 | 横書き・縦書きを切り替え可 |
『あなたのいないこれからは、幸せばかり』は日本語の小説です。当サイトで第1〜3話を試し読みできます。
冒頭試し読み第1話より・約545字
私、香月詩乃(かつき しの)の支えで、葉室凌生(はむろ りょうせい)が再び紫苑音楽賞・最優秀男性アーティスト賞のトロフィーを手にしたあと、私たちは一夜にして、付き合い始めた頃のような熱を取り戻した。
彼が私を見る目には、前よりずっと強い独占欲がにじんでいた。
「もう男のアーティストは担当するなよ」
背後から私を抱きしめた凌生が、くぐもった声で続けた。
「妬くから」
私は「子どもみたい」と笑いながら言った。
けれど、胸の奥には甘い気持ちが広がっていた。
あの頃の私は、ただ愛されすぎているのだと思っていた。
ある日、彼の服のポケットから、「一生に一つしかオーダーできない」とうたうダイヤのリングを見つけるまでは。
その瞬間、涙があふれた。
8年付き合ってきて、ようやく凌生も私との結婚を決めてくれたのだと思った。
片膝をつく凌生の姿まで想像した。
けれど翌日、そのリングは新人の花房ひまり(はなぶさ ひまり)の指にはまっていた。
ひまりは私を見て、挑むような目を向けてきた。
その場に立ち尽くし、このところ凌生が理由もなく見せていた嫉妬や警戒を何度も思い返した。
あれは、深い愛情なんかじゃなかった。
自分を私に重ねていただけだった。
自分がとっくに一線を越えていたから、私のすることすべてが、自分と同じに見えていたのだ。
※作品紹介ではなく、第1話の書き出しをそのまま掲載しています。第1話の続きを読む
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