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8度目の入籍失敗、別の人と結婚第2話

この話は約1671字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

だが、莉乃の飼い猫がいなくなった。

彼は午後ずっと、彼女に付き添って猫を探し回っていた。

私たちが入籍しようとするたびに、莉乃には決まって何かしらのハプニングが起きた。

そのせいで、私たちの入籍は礼人の手によって幾度となく先延ばしにされてきた。

役所の入り口にある電光時計の数字が、カチリと変わった。

16時48分。

彩音は私の手首をぎゅっと掴んだ。

「茉央、あと12分しかないよ。もう本当に待てないって!」

私はうなずき、礼人へと視線を向けた。「礼人、今すぐ私と一緒に中へ入って」

礼人はようやく顔を上げたが、私を見るその目には明らかな苛立ちが混じっていた。

「茉央、いちいち急かさないでくれないか?間に合わせるって言っただろ。どうしてこの数分が待てないんだ?

莉乃がブレスレットを編み直してくれてるのも、俺たちの結婚生活が順調にいくように願ってのことだろ。お前、少しは物分かりよくできないのか?」

莉乃もそれに同調して口を挟む。

「そうだよ、茉央。このブレスレットはね、私と礼人がわざわざ特別に用意したものなんだよ。あなたたちの結婚生活を守ってくれるんだから。

今日いきなり切れちゃったのに、ちゃんと直さなかったせいで、万が一この先あなたたちの仲がこじれちゃったらどうするの?

私も、あなたたちのために良かれと思ってやってるんだよ」

彼女の口調は悪びれる様子もなく、まるで本気で私のことを思っているかのようだった。

礼人もやれやれとため息をつき、ひどく呆れたような目で私を見た。

「茉央、わがまま言うなよ」

わがまま?

その言葉を聞いて、私は思わず失笑した。

要するに、彼の目には莉乃が全員を待たせてブレスレットを編むことは「わがまま」には映らず、私が入籍を急かすことだけが「わがまま」に映るらしい。

役所の電光時計が再びカチリと変わった。

16時49分。

フロアの奥では、職員たちがすでに書類の整理を始め、退勤の準備に取り掛かっている。

私は目を閉じ、深く息を吸い込んで波打つ感情を鎮めた。そして礼人を真っ直ぐに見据え、はっきりと言い放った。

「礼人、今日の17時までに、私は絶対に入籍するから」

礼人は眉間にしわを寄せ、いらだたしげな表情を浮かべた。

突然、莉乃が「あっ」と小さく声を上げた。

次の瞬間、組紐が再びほどけ、数粒のパワーストーンがバラバラと地面に転がり落ちた。

莉乃は一瞬で目を潤ませ、しゃがみ込むと、慌てた様子で石を拾い集め始めた。

「嘘でしょ……あともう少しで編み終わるところだったのに。礼人、探すの手伝って!一粒でも欠けたらダメなの」

礼人が腰をかがめようとした時、彩音はとうとう我慢の限界を超えて声を荒らげた。

「莉乃、いい加減にしてくれない!?今日は茉央と礼人の入籍日なの!あんたのお守りパフォーマンスを見せつける場合じゃないのよ!」

莉乃の手がピタリと止まった。彼女は顔を上げると、ひどく潤んだ目で彩音を見つめた。

「パフォーマンス?彩音、どうしてそんなひどいこと言うの?これは二人のお守りなのよ。二人の結婚がうまくいくようにって、私が一生懸命準備したものなのに」

彼女は唇を噛みしめ、私へと視線を向けると、ひどく傷ついたような震える声で言った。

「茉央、私は本当にあなたたちのためにやってるんだよ。あなたたちの結婚が順調にいくように願うことの、一体どこがいけないの?」

さすがに周囲の友人たちも見かねたようだ。一人がなだめるように口を開く。

「莉乃、とりあえず探すのは後にしよう。入籍が終わってからでも同じだろ。今は本当に時間がないんだって」

しかし、莉乃は即座に首を横に振った。

「同じなわけないじゃない!このブレスレットは、入籍の時につけてこそ意味があるの。そうやって二人の結婚をお守りするものなんだから。もしつけないで、万が一この先二人の関係がダメになっちゃったらどうするの?」

彼女はそう言いながら、ポロポロと涙をこぼし始めた。

「私はただ、良い縁起を担ぎたかっただけなのに……どうしてみんな、私が邪魔してるみたいに言うの?」

その言葉を聞いた瞬間、礼人の顔色が険しいものへと変わった。

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