5年もの隠れた恋の末、彼は本命彼女にプロポーズした第2話
この話は約756字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。
家に帰ると、母は早くからソファに座って私の帰りを待っていた。
私の真っ赤になった目元を見るなり、慌てて立ち上がった。
「思乃、誕生日パーティーで俊行に嫌な思いをさせられたの?」
母はため息をつき、痛ましそうに私の頬へ手を添えた。
「こんなに時間が経っても、俊行はまだ私への誤解を解いてくれないのね。私たち母娘にずっと敵意を抱いたまま。
私は岳雄がそばにいてくれるから大丈夫。でも、あなたにはつらい思いをさせてしまってるわね」
私と俊行の秘密の交際は、母ですら知らなかった。
これまでの5年間、母が私を慰めるたびに、私は心の中で密かに喜んでいた。
俊行と恋人同士になれたことが嬉しかった。
いつか私が二人の間の潤滑油となり、俊行が母を完全に受け入れてくれる日が来るはずだという期待。そして近い未来、私たち四人が本当の家族になれる日を夢見ていた。
けれど今となっては、そのすべてが私一人の幻想だったのだとわかった。
今夜、俊行の口から語られた残酷な真実が、私の未来への幻想をすべて粉々に打ち砕いた。
私は乱暴に涙を拭った。
「ううん、ただ目にゴミが入っただけ」
母と継父である神原岳雄(かんばら たけお)の仲はとても良い。
だから私は、自分と俊行のことで母の幸せな生活を壊したくなかった。
母はほっとしたように息をつき、私の背中を軽く叩いた。
「それならよかった。あなたと俊行が穏やかにやっていけるなら、私も安心できるわ」
私は込み上げる涙を必死に堪え、母に異変を悟られないよう「おやすみ」とだけ告げて急いで2階へ上がった。
部屋に入り、外の世界をすべて遮断すると、私はドアにもたれたまま力なく床へ滑り落ちた。
そしてついに、堪えていた涙が溢れ出した。
まさか、俊行との5年間の恋愛が、彼が最初から仕組んでいた復讐だったなんて、一度も想像したことがなかった。
縦書き表示中:本文は右から左へスクロールします(← → キーでも移動できます)