和紙文5年もの隠れた恋の末、彼は本命彼女にプロポーズした · 第3話設定≡

5年もの隠れた恋の末、彼は本命彼女にプロポーズした第3話

この話は約1295字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。

12歳の時、母は私を連れて継父と再婚した。

その頃、俊行はすでに15歳だった。

私たちを見る彼の瞳には、冷たい光が浮かんでいた。

彼が私と母を歓迎していないことは、誰の目にも明らかだった。

私は服の裾をぎゅっと握りしめ、母に促されるまま勇気を振り絞って彼を「お兄ちゃん」と呼んだ。

けれど俊行は、ただ冷たく私を一瞥し、鼻で笑った。

「勝手に親しく呼ばな!

愛人の子どもの分際で……!」

侮辱そのものの言葉に、私はその場に縫い付けられたように動けなくなった。

私は屈辱をこらえながら説明した。

母が継父と付き合い始めたのは、俊行の実母が亡くなった後であり、母は決して愛人ではない。

けれど俊行は信じようとしなかった。

私と母への態度は相変わらず冷たく、継父が何度叱ってもまったく効果はなかった。

母を困らせたくなくて、私は普段からなるべく俊行を避け、彼を怒らせないようにしていた。

私は、自分と俊行の関係はこのままずっと悪いままなのだと思っていた。

けれど17歳の時、その関係は変わり始めた。

夜の自習を終え、一人で帰宅していた時だった。

曲がり角で、酔っ払った男がふらふらと近づいてきた。

その口からは卑猥な言葉が飛び出していた。

私は慌てて鞄を抱きしめ、通行人に助けを求めようとした。

しかし、誰もいなかった。

私は少しずつ絶望していった。

男の手が私に触れようとした瞬間、大きな手が勢いよく私をその背後へ庇った。

次の瞬間、鈍い音と共に男が地面へ叩きつけられた。

私は呆然と、目の前に立つ背中を見つめていた。

いつも私を嫌っていた俊行が、まさか助けてくれるなんて思いもしなかった。

俊行は手首を軽く振りながら、相変わらず不機嫌そうな目で私を見た。

それでも、その瞳の奥に宿るわずかな心配を、私は見逃さなかった。

「車があるのに乗らないとか、危ない目に遭いたいのか?まるで神原家がお前を虐待してるみたいじゃないか」

継父は、私と俊行の通学のために専属の運転手を手配していた。

でも私は、自分が彼の前に現れるだけで不快にさせてしまうと思い、一度も一緒に登下校したことがなかった。

彼と目が合った瞬間、私は慌てて俯いた。

何を言えばいいのかわからなかった。

俊行は苛立ったように舌打ちし、私の手首を掴むと、そのまま車へ押し込んだ。

その時の具体的な状況は、もう私の記憶の中で少し曖昧になっていた。

それでも、俊行が私の前に立って守ってくれた時、胸から伝わってきた激しい鼓動だけは、今でも忘れられない。

物心ついた頃から、私には母しかいなかった。

母は仕事で十分苦労していたから、これ以上心配をかけたくなかった。

だから、外で嫌なことがあっても、私は一度も母に話したことがない。

あの夜は、私が初めて「誰かに守られる」という気持ちを知った瞬間だった。

それ以来、私と俊行の関係は微妙に変わっていった。

私は無意識のうちに彼へ視線を向け、こっそり彼の日常を気にするようになった。

自分ではうまく隠しているつもりだった。

この密かな想いは、俊行に気づかれていないと思っていた。

しかし20歳の誕生日の夜、あの熱く濡れたキスが、私の秘めていた想いをすべて俊行の前へ晒してしまったのだった。

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